特集春を食べる
2026.04.30
世界一やみつくかき揚げ!? 名古屋の老舗名店「光村」の5人分巨大かき揚げは直径20cm、海老とごま油香る!
「春は、あけぼの」ではじまる枕草子。このフレーズに掛けて「春は、揚げもの」を満喫します。油で揚げるのにどこか軽くまた食べたくなるやみつきのおいしさ。一度食べたら忘れられない名品ぞろいです。
光村[名古屋]
名古屋にこの名店ありと知られる「光村」。2007年に本誌にご登場いただいたときに、こんな大繁盛の天ぷら店があるのか!と驚かされましたが、20年近くたった今でもその人気ぶりは健在。昼も夜も開店と同時にお客が続々と入ってきて大にぎわいです。
同店の名物はかき揚げ。1日に300杯でるかき揚丼もおすすめですが、ぜひ食べてほしいのが、単品のかき揚げ。それも五人前の特大サイズが逸品中の逸品です!
「もとはかき揚げを2枚食べたいので、いっぺんに揚げてというお客様のリクエストに初代が応えたのがきっかけのようです。その枚数が増えてついに5人分まで。そこまで大きくなると揚げ箸でつかめないので、油から取りだすときには揚げ箸2本の上にのせてすくいあげるのですが、箸の長さが5人分までで限界なんです」
と話す水谷浩三さん。揚げたてからは海老の香りがむんむんで、ごま油の甘い香りと相まって、食欲をわしづかみ。ビールと一緒に食べれば、もう箸が止まらない「大人の極上のスナック」。食して大満足、そしてなぜかまたすぐに食べたくなる記憶に残るかき揚げです。

見よ! 揚がった瞬間の五人前の特大かき揚げを。材料は体長4、5cmの小海老50尾を手でちぎり、彩りに三つ葉。傾けた鍋に揚げ油を他の天ぷらよりもたっぷり入れて180℃に熱し、具と衣を合わせて杓子で一杯ずつ入れて大きくしていき、直径20cm、高さ5cmほどに形を整える。「衣と揚げ油の温度差が大きいほど軽く揚がる。油の温度は180℃よりも高くできないので、衣をつくる水をできるだけ冷たくしておくのがコツ」と浩三さん。最大の見せ場は、まだやわらかいうちに裏返す時。このタイミングが軽い揚がりにとって大切だが、きれいに裏返すのは至難の業で長年揚げていても緊張する瞬間だという。

揚げ油は濃い焙煎の純正胡麻油(業務用)3対サラダ油7の割合で、ごまの香りやうまみが衣に移り、やみつき度が高い。銅鍋は毎営業ごとにピカピカに磨きあげる。

五人前のかき揚げを揚げるのは、経験が成せる技。衣の表面はカリカリ軽く、内側は少しふっくら、箸を入れると海老をつなぐ衣がほろり、ほろりとくずれる。

一番人気はかき揚丼。鰹ダシがきいた丼つゆは濃い色の見た目に反して、すっきり上品。かつて長島茂雄さんが名古屋シリーズの折にはかならず出前をとり、「勝ちあげ丼」と呼んで験をかついだというエピソードも。店内には寄贈されたサイン色紙が飾られている。

この木の棒は油のブレンド用のメジャー。初代の主人が手製でつくり、あとを継いだ息子たちの代にも受け継がれ使われている同店の歴史が詰まった道具。


揚げ場には次男の浩三さんが立ち、サービスは長男の之俊さんが担当し、兄弟で初代の意志を継いで光村の味と人気を守っている。
SPOT
光村
所在地:名古屋市北区清水3-19-18
電話:052-911-3512
営業時間:11:00~14:00(13:30L.O.)、17:00~21:00(20:30L.O.)
定休日:水、第1・3火
http://www.tp-mitsumura.com/
かき揚五人前5700円、かき揚丼1700円
(2026年春の号掲載)
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