特集魚食の口福
2023.01.17
世界が注目する魚屋「サスエ前田魚店」の前田さん直伝!魚のおろし方とごま油をきかせた手軽にうまい2品
前田さん直伝!家庭でできるおいしいワザ
魚をおろして、魚のことを知ろう
魚をおろすのは正直慣れないと大変そう。でも、自分で触れ、包丁を身に入れると、身の感触やハリ、脂のノリ、血の色合いがよくわかり、魚を知る手がかりがたくさんみつかります。はじめてなら、魚体が小さく扱いやすいので、アジがおすすめ。包丁は家庭用のふつうの両刃で大丈夫です。
前田さんも愛用する太白胡麻油で魚をおいしくするレシピを初披露! 前田さんの魚の仕立てに欠かせない技「脱水締め」に家庭でも挑戦してみてください。
アジのおろしかた
カンパチの太白お造り
カンパチは家庭版の「脱水締め」をして、さらに太白胡麻油のうまみをまとわせます。噛みしめるたびにカンパチと油脂のうまみがじわじわ。
RECIPE
カンパチの太白お造り
材料/1サク分
カンパチ…1サク 塩…適量 太白胡麻油…適量 ※塩は自然塩を使う
- まな板の上に塩を3~5つまみほどまんべんなく薄くふる。この上にカンパチをおき、上からも同量の塩をふる。塩をまんべんなくふる自信がなければ、茶こしを使えばOK。
- まな板を傾け、15分ほどそのままおいて脱水する。
- タオルで包んでギュッと押すようにもんで水分を取る。
- ラップなどをせずに冷蔵庫に15分ほど入れて締める。その後はラップをするか密閉容器に入れて乾燥を防いで保管する。
-
4の全面に太白胡麻油をまぶし、ペーパータオルではさんで余分な太白胡麻油をふき取ってから切り分ける。
マグロ尾の身のコンフィ
筋っぽくて料理しにくいマグロの尾の身は、太白胡麻油でゆっくり加熱してゼラチン質を溶かし、ふっくら柔らかに。仕上げに熱々の太香胡麻油で香ばしさを添えれば完璧。
RECIPE
マグロ尾の身のコンフィ
材料/つくりやすい量
マグロ尾の身(0.5%の塩水に浸けて解凍)…約300g 酒…100ml ショウガの絞り汁…小さじ1 太白胡麻油…100~150ml 白髪ネギ…1/3本分 ショウガのせん切り…適量 太香胡麻油…適量
- マグロ尾の身と酒、ショウガの絞り汁を密閉袋に入れ、冷蔵庫で40分くらいおく。
- 耐熱性の密閉袋に1の水分をふき取って入れ、浸る量の太白胡麻油を入れる。
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鍋に多めのお湯を沸かし、2を筋側が下になるようにして入れる。袋のなかの太白胡麻油がすべてお湯に浸るように。ポコポコと泡がでるくらいの状態で身が白くなるまで火を入れる。
- 3を油から取りだして盛りつけ、白髪ネギとショウガをのせる。太香胡麻油を熱してジュッとかける。
干物には焼く前に太香胡麻油をぬる
サスエ前田魚店の看板商品のひとつが、自家製の干物。入荷したアジやイワシをその日のうちに開き、日中の天日に数時間干すだけの鮮度感あふれる逸品です。乾燥させるための干しではなく、日光で余分な水分を抜いて魚の味をギュッと凝縮させるので、焼いて食べるとみずみずしく味が濃い。この干物には焼く前に太香胡麻油をさっとぬると、火通りがよくなって香ばしさが増し、ごま油のうまみも加わります。前田さん公認の焼き方のアイデアです。
前田流「魚の血の色」と「ごま油」の関係
魚の血や血合いの色は、鮮度を示すバロメーター。右の写真の血合いのように明るく鮮やかな赤色なのが、新鮮な証拠。前田さんが提案するのは、血の色とごま油の焙煎度合の関係。「新鮮で血の色が明るい赤色の魚には、魚の繊細な持ち味をそのまま味わえるように、太白胡麻油を使うのがおすすめです。鮮度が落ちるにしたがって、焙煎度の強いごま油を合わせて、ごまの香りでマスキングをしながら味を補うと、魚のおいしさが生き返ります。加熱用の魚介類には太香胡麻油か圧搾純正胡麻油を」(前田さん)
(2022年冬の号掲載)
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