特集夏のセサミのファンタジー

2021.12.16

【セサミロードのおいしいレシピ1】ごまを使った世界のメニューを紹介


ごまのイメージって、オリエンタル?実はごまは世界各国で栽培され、160ヵ国以上で食べられているワールドワイドな食材なのです。生まれは紀元前のアフリカ・サバンナで、古くは古代エジプト時代から、コショウなどの香辛料と並ぶ貴重な食べ物として取り引きされたそうです。人から人へ、国から国へと、ごまはゆうに5000年以上の長い年月をかけ、世界中に広がりました。いま食べたい世界のごまレシピをちょっと本格的に、そして日本でも気軽につくりやすくアレンジして楽しんでみませんか。

5000年以上の時を超えて。全長1万5000km以上のセサミロード

5000年以上前にアフリカのサバンナで誕生!

アフリカ各国は今でも世界のごまのー大生産地

エジプト

紀元前のファラオのピラミッドにもごまが。食用、灯用、香料などに大活躍。

ごまは金のなる木。古代エジプトでは「家畜の牛1頭とごま1粒」が取引されたという驚くべく事実も!

ギリシャ

紀元前の医学の父ヒポクラテスもごまを推奨。古代オリンピックでは選手のスタミナ食

ごまは活力を生む高栄養食物

古代オリエント

古代オリエントの国々では紀元前3000年頃にはごまを大々的に栽培。やがてアラビア全土に拡大

地中海

地中海沿岸の各国では今でもごまつきのパンが人気。

トルコのシミット(上)、ギリシャのクルーリ(下)、イタリア・シチリアのマファルダ(右)

インド

紀元前3000年にはごまを栽培。アーユルヴェーダでもごま油を活用。今でも世界のごまの生産量の第3位!

スリランカ

マルコ ・ ポーロ (1254-1324)の「東方見聞録」には、バラシャン(現アフガニスタン)やセイロン島ではごまが油の原 料になっているなど、ごまに関する記述がある

中国

紀元前3000年頃の黄河文明ではごまを栽培。中国最古の薬物学書「神農本草経」にはごまの効能が記されている

不老長寿の秘薬。中国では担担麺、棒棒鶏など 日本でもおなじみのごまを使った料理が多彩。お菓子も芝麻疎(ごま団子)や開口笑(ごまドーナツ)などポピュラーな ものがたくさん

胡麻・胡椒・胡瓜・胡桃

当時、シルクロードを経て西方から伝わったものには「胡」の文字がつけられた

韓国

ビビンバやチヂミなど、韓国料理の香りはごま油の香りといえるほど

日本

日本には縄文時代にごまが伝来。鎌倉時代以降、精進料理の普及とともにごまの料理が増えていった。

セサミロードのゴールは極東の日本!

アメリカ新大陸へ

大航海時代を経て、ごま は17世紀頃にカリブ海に浮かぶ西インド諸島に上陸。それから3世紀の時をかけて南北中央アメリカ全土へ広がった

アメリカ

1952年、テキサス州にアンダーソン兄弟がごま栽培のための開拓を進める会社を設立。この後、アメリカではごまのバターやマーガリン、アイスクリーム、パンやケーキなどが続々市場に。兄弟のサクセスストーリーは、1969年から放映がはじまった「セサミストリート」のモデルにもなった。

アメリカの国民食ハンバーガーのバンズにはごまが欠かせない。有名チェーンのバーガーとともに、ごまも世界の人に食べられている

そして日本からさらに、ごまがワールドワイドに!

日本のごまを愛する気持ちが伝わり、世界にごまレシピが誕生。ごま油も粒ごまも人気です。

ごまはパワフル、だから世界に広がった!

香ばしく、噛みしめればあふれるうまみ。小粒なのに、食用にも、儀式にも欠かせない油を搾ることができる植物(専門用語では「油糧植物」)。ごまは遥か昔の人たちにとって、たまらなくおいしく贅沢な食べ物だったにちがいありません。近年になってようやく解明された抗酸化成分のゴマリグナンや豊富なビタミンEなどの栄養効果も、先人たちは身をもって知っていたのです。食べて美味、元気がでる。だからこそ、ごまは愛され、世界に広まったのです。

●うまみがあって、香りよく、健康素材
●抗酸化性にすぐれるので、保存がきき、輸送もできる
●成長が早く、1本の苗で1万粒以上収穫

※参考文献
「ゴマ ・ スーバー健康法」小林貞作(ごま書房)
「ゴマの来た道」小林貞作(岩波書店)
「完訳東方見聞録1」「完訳東方見聞録2」マルコ・ポーロ・ 愛宕松男訳注(平凡社)

HE SPLENDID TABLE https://www.splendidtable.org/
Pillsbury.com https://www.pillsbury.com/
The Culinary Cellar http://theculinarycellar.com/

(2020年夏の号掲載)
 ※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。