シリーズ連載300周年スイーツセレブレーション

2024.10.08

創業300周年 大森由紀子presentsスイーツセレブレーション#3 「ポムルージュ」小熊亮平シェフ


竹本油脂の創業300周年を目前にスタートした本シリーズ連載。大森由紀子さんのナビゲートで、日本やフランスのパティシエたちに魅力的なお菓子でお祝いしていただきます。太白胡麻油や太香胡麻油、ねり胡麻がスイーツの新たな表現の可能性を広げます。第3回は、「ポムルージュ」小熊亮平シェフが登場!

セザム・パッション

銀座「和光」で活躍したショコラティエの小熊亮平シェフが、今夏「ポムルージュ」をオープン。期待のボンボンショコラのラインナップに、ごまとパッションフルーツのセザム・パッションが登場です。上層はスムーズな口当たりのパッションフルーツのガナッシュで、太白胡麻油がパッションフルーツの酸味やミルクチョコレートの香りを引き立てます。軽妙なアクセントは、下層のごく薄いプラリネ・セザムのサクサク食感。一口の幸せを生む精密なバランスです。

太白胡麻油にはバターにない良さがある

大森この「セザム・パッション」は、独立開業したてのお店の定番ラインナップに入っているんですか?
小熊はい、もちろんです。このカカオ形のボンボン・ショコラでフランボワーズライチ、キャラメルライム、ミュール、ユズ、セザム・パッションの5つのフレーバーの詰め合わせがあります。このなかではセザム・パッションに太白胡麻油、純ねり胡麻 白ソフトパウチ、いり胡麻 白を使っています。
大森パッションフルーツと白ごまの相性は抜群。上の層がパッションフルーツの酸味があるガナッシュで、下の薄い層がプラリネ・セザム。このプラリネの白ごまのパリパリした食感がポイントですね。しかも、乾燥させたパッションフルーツのピュレも入っているので、パッションフルーツが歯に当たると、白ごまの余韻にちょっと複雑なニュアンスが加わるという。さすが考えられているなぁ。
小熊ガナッシュには本来バターを入れますが、パッションフルーツのようにとくに素材感を強調したい場合は、あえて乳味があるバターではなく、無味無臭の太白胡麻油を使っています。液体油脂は温度をさほど気にしなくてもきれいに乳化するので、オペレーションの効率もいいです。
大森そもそも太白胡麻油は、油脂のなかでも乳化しやすいオイルといわれているそうです。洋菓子に使う油脂として、バターがすべてではない、というのはいい視点ですね。ガナッシュ以外にも使っていますか?
小熊実は「和光」時代からいろいろと使っているんです。一番はショートケーキのジェノワーズ生地にバターと半々で配合しています。冷蔵の温度帯で食べるので、ジェノワーズが締まらないようにするためです。しっとり、ふわりと焼きあがります。
大森焼き菓子もチョコレートのフィナンシェには太白胡麻油を使っているとか。
小熊カカオパウダーを配合しているので生地が締まりやすいためです。太白胡麻油を入れると生地がソフトになりますし、やはりチョコレート感が増すのが大きいです。バターの乳味と相乗効果でふくらむ素材と、逆に乳味がないほうが素材感が際立つパターンを、太白胡麻油とバターでうまくバランスをとっています。
大森思っていたよりも、活用度が大きい!
小熊もともとチョコレートのコーティングから太白胡麻油を使いはじめました。同じ液体油脂でも、サラダ油ではなく、いい意味で無味無臭で、油のにおいがないのが太白胡麻油のいいところだと思っています。
小熊亮平
1982年、千葉生まれ。東京・曙橋「ラ・ヴィ・ドゥース」、ベルギー、フランス、「ラ・ヴィ・ドゥース横浜店」を経て、「和光」に。2019年、クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリーでチーム準優勝。
大森由紀子
エートル・パティス・キュイジーヌ主宰。フランス菓子・料理研究家として、フランスの食文化を文献や歴史に基づき紹介する。2016年にフランス政府より農事功労章シュバリエ勲章を受勲。
https://www.yukiko-omori-etre.com/

レシピはこちらから
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2024/09/sweets-celebration.pdf

SPOT

Pomme Rouge

所在地:千葉県柏市若葉町1-1
電話:04-7199-9760
営業時間:10:00~18:00
休業日:火
Instagram@pommerouge0801

(2024年秋の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。