特集100年先の未来
2026.02.03
冬の白菜を味わう名品「乾隆白菜」。「茶禅華」川田シェフの手により、淡味(たんみ)を究めて現代に再誕
味わい増す冬の白菜、ごま油、酢が描く 至福のトライアングル
生の白菜をねり胡麻や酢の濃厚なタレで和える「乾隆(けんりゅう)白菜」は、清朝の最盛期を治めた皇帝、乾隆帝が好んだといわれる名品。いわば200年超までさかのぼるロングセラーです。この乾隆白菜をオマージュし、冬に味わいをどんどん増す白菜を満喫すべく、マルホン胡麻油とミツカンがコラボレーションしました。「茶禅華」の川田智也シェフと「MUBE」の泉貴友さんが、中国料理と日本料理のそれぞれのアプローチで、極上美味な冬白菜の一品を仕上げます。
シリーズリスト
川田智也[茶禅華]
タイムマシンに乗って、乾隆帝に献上したい逸品になりました
清らかで、凛とした川田智也シェフの「乾隆(けんりゅう)白菜」。白ねり胡麻と酸白菜(スァンパイツァイ)、太白胡麻油、純米酢を乳化するまで混ぜ合わせたタルタルソースのような醤(ジャン)は、ファーストはねり胡麻の香味がやってきて、流動的な柔らかな純米酢の酸がつなぎ、酸白菜が歯にあたると別の酸味がパチンとはじけます。
「美食と贅を究めた乾隆帝は、黄茶の君山銀針(くんざんぎんしん)を好んだそうです。それはお湯のような、すごい香りやうまさがあるわけでなく、ダシでいえば昆布のようなお茶です。このお茶のような淡味の料理にしたいと思い、発酵させた酸白菜の白菜自体の甘みやうまみを軸に、太白胡麻油のうまみやなめらかさ、純米酢のうまみや酸味を合わせたら、白菜のすばらしい滋味を引きだせました」
かたや、春捲は乾隆白菜には使わない白菜の芯の部分を生かすための仕立て。乾隆白菜醤をベースにした餡に三ツ判山吹(粕酢)、純玄米黒酢それぞれを入れて酸を閉じ込めながら揚げ、違いを食べ比べる趣向です。
川田シェフいわく、太白胡麻油も酢も、まさに淡味をもつ調味料。相乗効果を醸しだす、親戚同士のような存在だったとあらためて気づいたそうです。

烏龍茶のような華やかな味も香りもないが、お湯と飲み比べると、そのふくよかな味わいに気づかされる黄茶の君山銀針。「淡味」とはそういう味わいをさす。
乾隆白菜

RECIPE
乾隆白菜
材料/2人分
乾隆白菜醤(つくりやすい量)[純ねり胡麻 白ソフトパウチ…34g 酸白菜(下記)…48g 酸白菜の汁…33g ミツカン純米酢…4g 太白胡麻油…4g 塩(久高島の塩)…1g]
白菜の葉…30g
- 酸白菜をみじん切りにし、乾隆白菜醤の材料すべてをよく混ぜ合わせて乳化させる。
- 白菜は葉の部分を一口大に手でちぎる。
- ボウルを氷水にあて、②と①の乾隆白菜醤30gを入れて和える。
RECIPE
酸白菜
材料/つくりやすい量
白菜…1kg 米のとぎ汁…2L 塩…60g ミツカン純米酢…20g 三温糖…10g 白酒…7g タカノツメ…5g 山椒…3g
- 米のとぎ汁、塩、ミツカン純米酢、三温糖、白酒、タカノツメ、山椒を合わせて沸かし、常温まで冷ます。
- 白菜を切って日光に半日あてる。
- 甕に①を入れ、②の白菜を漬ける。時々混ぜて様子をみながら、約2週間発酵させる。

醤はタルタルソースのようにツヤがでて乳化するまできちんと混ぜる。太白胡麻油は上品なコクとうまみをだし、なめらかさを生みだす。「微量でも入れると入れないとでは大違い」(川田シェフ)
乾隆白菜春捲

三口の愉悦。手前に配された三ツ判山吹の餡で清らかさを感じ、ふたつの餡の中間は皮の外側についたすり胡麻のおかげで味がふくらみ、奥の純玄米黒酢の餡の力強い酸で締める。器には白菜とキリギリスが描かれている。

RECIPE
乾隆白菜春捲
材料/2本分
乾隆白菜醤(つくりやすい量)[純ねり胡麻 白ソフトパウチ…30g 酸白菜*…68g 酸白菜の汁…33g 白醤油…6g 太白胡麻油…4g 塩(久高島の塩)…1g すり胡麻 白…16g]
三ツ判山吹の餡[白菜の芯…13g 白菜の葉…2g 乾隆白菜醤(上記)…15g ミツカン三ツ判®山吹®…3g]
純玄米黒酢の餡[白菜の芯…13g 白菜の葉…2g 乾隆白菜醤(上記)…15g ミツカン純玄米黒酢…3g]
オブラート…16枚 米粉の春巻用皮…2枚(井辻食産・15cm角に切る) コーンスターチ…適量 水溶き小麦粉…少量 太白胡麻油…適量 すり胡麻 白…適量
*本ページ内 酸白菜と同様
- 酸白菜をみじん切りにし、乾隆白菜醤の材料すべてをよく混ぜ合わせる。
- 白菜の芯は1.5cm角に切る。葉は長さ3cmのごく細切りにする。
- ②と①を合わせ、2つに分ける。それぞれに三ツ判山吹、純玄米黒酢を加えて2種の餡とする。
- オブラート4枚の端を重ねて正方形に置き、③を15gずつのせて包む。細長い棒状で、2種の餡が左右に分かれて入った状態になる。
- 春巻用皮を置き、④にコーンスターチをハケでまぶし、右側が三ツ判山吹の餡になるようにのせる。しっかりとひと巻きし、左右の皮を折りたたみ、少しすき間ができるように巻いて水溶き小麦粉でとめる。
- 太白胡麻油を160℃に熱し、⑤を2分揚げる。ペーパーの上に取りだし、表面の油をふき取る。
- 器にすり胡麻 白を盛り、この上に⑥を三ツ判山吹の餡を手前にして盛りつける。


春捲の餡は白すり胡麻でとめる。「すり胡麻の力強さと、ほどけるような口当たり。片栗粉でも試作しましたが、とろみやデンプンの味があるため、イメージ通りの清らかな味わいにはならなかった」(川田シェフ)。

太白胡麻油で揚げると、オブラートと皮の中で逃げ場を失った酢の酸が、悶えるように充満する。黄茶の製造工程の「悶黄(メンホァン)」になぞらえて、川田シェフは「悶酸(メンスァン)」と呼ぶ。

1982年、栃木生まれ。「麻布長江」(閉店)、「龍吟」で修業、2017年に「茶禅華」を開業。「ミシュランガイド東京2026」で三つ星を6年連続獲得。

SPOT
茶禅華(さぜんか)
所在地:東京都港区南麻布4-7-5
電話:050-3188-8819
営業時間:16:00~23:00(19:30最終入店)
休業日:日、月を中心に不定
https://sazenka.com/
おまかせコース4万6200円~
▼「令和酢油百珍」はこちらから
保存版「酢油」料理の名作集「令和酢油百珍」。コクとキレ、酢とごま油のヤミつきレシピ13品
(2025年冬の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。