特集香り中華

2024.12.26

日本中国料理協会が全面協力、第一回「マルホン芝麻選手権」。テーマは「ごま油の進化と深化」


マルホン胡麻油を中国料理業界でもっと知ってもらうために、竹本油脂は日本中国料理協会の全面協力のもと、「マルホン芝麻選手権」を開催しました。優秀賞3名の実技デモの模様をお届けします。

第1回マルホン芝麻選手権のテーマは、「ごま油の進化と深化」。日本中国料理協会(以下・日中協)のウェブサイトにおいて8月1日~9月30日の期間でレシピを募り、10月9日に書類審査により上位得点3名を優秀賞として選出。優秀賞3名は10月25日に東京の会場で入賞レシピの実技・試食デモンストレーションを行い、日中協の脇屋友詞会長ら5名の審査員とディスカッションの場をもちました。

左から天廣堂 廣田資幸 理事・関東地区本部長、胡同三㐂 大城康雄 副会長、Wakiya 脇屋友詞 会長
竹本油脂からは信藤隆宣営業統括部長、東京営業部の嶋﨑浩治部長が参加

よりおいしく、健康な料理をめざし中国料理業界とともに進化します!

過日行われた「第1回マルホン芝麻選手権」では、予想を上回るエントリーをいただき、応募レシピのどれもがごま油使いに創意工夫を凝らしたものばかりでした。中国料理にとって身近な素材だけに、実はあまり深掘りされにくいのが「ごま油」。それだけに太白胡麻油、太香胡麻油だからこそ生みだせる、味や食感などの表現を追究していることが審査のポイントとなりました。
優秀賞に選ばれたのは、石川裕之さん、山﨑朱歩さん、佐藤洋平さんの3名。それぞれ実技デモンストレーションの折に、次のようなコメントを寄せてくれました。
「朝天辣椒と花椒のオイルを太白胡麻油でつくると、軽く、さっぱり、さらりとしていて、他の油でつくるのとは別物」(石川さん)
「ごま団子、ニンジンの素揚げの揚がりが軽くて、とくにニンジンは甘みもでました」(山﨑さん)
「たくさんあるごま油が、それぞれ香りも味も、物性もちがうことがわかりました。もっと研究して料理に生かしたい」(佐藤さん)

これに対し、審査員を務めた脇屋友詞会長からは「僕らが知らなかったごま油のことまで、みなさんの作品がおしえてくれました。ごま油と中国料理、もっと可能性が広がります」と呼応し、第2回以降の開催を約束しました。
マルホン胡麻油は今後も中国料理で活用いただけるよう、高品質で安全なごま油をお届けします。
※レシピは基本的にエントリーの原文のままとしています。


【優秀賞】 霧都沸騰馬頭魚(ウー ドウー フェイ タァン マー トウ ユィ)

石川裕之 / 東海調理製菓専門学校

パリパリ甘鯛の太白胡麻油と四川唐辛子のオイルがけ〜霧立つ重慶の情景〜

重慶を中心に流行している四川料理の代表、沸騰魚で麻辣をコンセプトに料理を構成しました。重慶は霧が多い町なので、その光景を高温に熱した太白胡麻油を甘鯛にかけたときに上がる白煙に見立て、「霧都」と料理名をつけました。お客様の前でプレゼンテーションし、香り、視覚といった五感で楽しんでいただける料理として提供したいです。

RECIPE

霧都沸騰馬頭魚(ウー ドウー フェイ タァン マー トウ ユィ)

材料/1人分

馬頭魚(甘鯛)…40g 
調味料A[塩…少量 胡椒…少量 魚露(魚醤)…3g 太香胡麻油…8g]  黄瓜(キュウリ)…25g 
調味料B[塩…少量 太香胡麻油…5g] 豆芽(モヤシ)…25g 
調味料C[塩…少量 太香胡麻油…5g] 
朝天辣椒…25g 豆粉(片栗粉)…5g 花椒…1g 朝天辣椒面(粉末)…3g 太白胡麻油…100g 香菜…3g

  1. 香菜の葉の部分を取り、水にさらしておく。
  2. 黄瓜を縦に4つ割にして種を取りのぞき、5cmに切り、調味料Bで下味を入れる。
  3. 豆芽は熱湯で10秒ほど茹でてザルにあげて水気をきり、調味料Cで下味を入れる。
  4. 朝天辣椒を熱湯でさっと茹でてザルにあげて水気をきり、種を取り除く。
  5. 馬頭魚の骨を取り除き40gに切り分け、調味料Aの塩、胡椒、魚露で下味を入れて、太香胡麻油を加えて30分マリネする。
  6. ⑤の身に豆粉をまぶして、160℃の油(太白胡麻油・分量外)で皮目に油をかけながら火を通し、皮をパリッとさせる。
  7. 深めのボウルに②、③を平らに置き、その上に⑥を置き、花椒、朝天辣椒面をふりかけ、④を上にのせる。
  8. 鍋に太白胡麻油を入れて180℃以上に熱し、⑦に少しずつかける。油が落ち着いたら、皿に盛りつける。最後に①の香菜の水気をきり上に飾る。

審査員の総評

⚫高温に熱した太白胡麻油の白煙が「食べたい」と思う意欲を喚起する。
⚫甘鯛の見るからにパリパリに揚がった皮、朝天辣椒の赤色、香菜の彩りがよく、器とのバランスもとれている。
⚫透明に澄んだオイルが、油のネガティブな要素をまったく感じさせず、すっきりと食べることができる。朝天辣椒と花椒の香り、太白胡麻油のうまみの相乗効果でオイル自体がおいしい。
⚫甘鯛はパリパリの皮目のみならず、身を太香胡麻油でマリネしているため、よい香りも感じることができる。
⚫太白胡麻油、太香胡麻油の特徴をよくとらえ、一皿のなかでうまく活用している。

抗酸化性が高く、高温の加熱に強い太白胡麻油は中国料理の技法には好適。それをこの料理は実証。

石川裕之 / 東海調理製菓専門学校
1981年、愛知生まれ。東海調理製菓専門学校を卒業後、浜松「樓蘭」などを経て、2014年から東海調理製菓専門学校で教職に就き、現在は中国料理担当調理部学科長を務める。

【優秀賞】 魚香茄芝麻球(ユー シャン チエ チー マー チュウ)

山﨑朱歩 / 赤坂四川飯店

胡麻団子仕立ての茄子のおやきスパイスソース

私の故郷、長野の名物であり、思い出の味、おやきをごま油で新しい形に仕上げました。芯には太香胡麻油を使って上品な香りやコクを与えました。魚香ソースには片栗粉を使わず、太白胡麻油をたくさん使って乳化させてとろみをつけることで、深いコクとまるみを帯びた味わいに仕上げることができました。華やかな盛りつけの一皿にも、ごま団子とソースでフィンガーフードにもアレンジできます。

RECIPE

魚香茄芝麻球(ユー シャン チエ チー マー チュウ)

材料/1人分

胡麻団子[白玉粉…12g 砂糖…4g 水…10g 浮き粉…4g 熱湯…2g ラード…1g 茄子…30g 豚バラスライス…5g 太香胡麻油…10g 味噌…2g 砂糖…5g 日本酒…少量 白胡麻…少量] 
魚香ソース[酒譲…3g 姜末(ショウガみじん切り)…2g 蒜泥(ニンニクすりおろし)…2g 泡辣椒…5g 毛湯…6g 紹興酒…3g 砂糖…3g 醤油…3g 胡椒…少量 酢…少量 太白胡麻油…15g ほうれん草…5g 卵白…3g 塩…少量 水…適量(1g以下) コーンスターチ…少量 葱花(ネギのみじん切り)…2g] 
飾り[人参…3g セロリ…5g 紅芯大根…2g 塩…少量 太香胡麻油…2g 藤椒油(山椒油)…1g サナギタケ…3g] 
調味料A[砂糖…2g 紹興酒…1g 塩…少量 辣油…3g 太香胡麻油…3g 花椒油…1g] 
白いり胡麻…適量 バジル…1g

  1. 胡麻団子:白玉粉、砂糖、水を合わせる(A)。浮き粉、熱湯を混ぜ合わせる(B)。(A)と(B)を合わせ、ラードを加えてよく混ぜ、1個45gに分割する。
  2. 茄子と豚バラスライスをそれぞれソン切り(粗みじん切り)にし、太香胡麻油で豚バラ、茄子の順に炒め、味噌、砂糖、日本酒を加えて芯子を作る。
  3. ②を丸め、①で包み、表面に白胡麻をまぶし、油(太白胡麻油・分量外・以下同)で低温で揚げる。
  4. 魚香ソース:酒譲、姜末、蒜泥、泡辣椒ペーストを弱火で香りが出るまで炒め、毛湯、紹興酒、砂糖、醤油、胡椒で味を整え、酢を加え、ミキサーに入れてたっぷりの太白胡麻油と共に回し、乳化してとろみがつくまで撹拌する。
  5. ざく切りにしたほうれん草、卵白、塩、水、コーンスターチをミキサーにかけてペーストにしたものをザーレンとホイッパーを使い低温の油で揚げる。
  6. ④と⑤と葱花を混ぜソースを作る。
  7. 仕上げ:人参を細切りにし、低温の油でじっくり揚げてサクサクにする。
  8. セロリ、紅芯大根を細切りにし、塩、太香胡麻油、藤椒油で味つけする。
  9. 乾燥サナギタケを熱湯で戻し、低温の油でカリッと揚げて調味料Aをからめ、白いり胡麻をまぶす。
  10. 皿に⑥のソースをのばし、③を盛る。⑨、⑧、⑦の順に盛りつけ、揚げたバジルの葉を飾り完成。

審査員の総評

⚫中華デザートのごま団子を、中の具、ソース、盛りつけの飾りとのバランスよく、主菜になる一皿に仕上げている。技術の高さがうかがえる。
⚫片栗粉を使わず、太白胡麻油と他の材料を乳化させた魚香ソースは、舌ざわりがとてもなめらかで上質感があり、中国料理において新しい可能性をみいだせる。
⚫デンプンでとろみをつけたソースは経時とともにやせたり、乾いたりするが、太白胡麻油の乳化ソースは経時劣化しにくい。宴会料理にもこの乳化ソースは活用できる。

ごま団子、飾りの揚げニンジンは太白胡麻油100%で揚げ、ソースも太白胡麻油で乳化させてつくる。「太白胡麻油でなければ表現できない」点が高く評価された。

山﨑朱歩 / 赤坂四川飯店
2004年、長野生まれ。高校の食物科を卒業後、四川飯店グループに入社。赤坂四川飯店の調理部に配属、修業2年目で鍋洗いと仕込みを担当。

【優秀賞】 萬年長楽(ワン ニィェン チャン ラ)

佐藤洋平 / ザ・キャピトルホテル東急 星ヶ岡

〜創業300周年を祝した竹本油脂お祝い御膳〜

竹本油脂のさらなる好景気・盛栄に願いを込め、山西省の伝統的な麺「一根麺」をメインとしたランチセットを考案しました。ごまを食べて育った白寿真鯛のカルパッチョから、デザートは太白胡麻油を使ったアイスクリーム。一根麺には純ねり胡麻 白ソフトパウチを練り込み、太香胡麻油をぬって熟成させることにより、ごまのうまみが凝縮し、コシが強い麺をつくりました。

RECIPE

萬年長楽(ワン ニィェン チャン ラ)

材料/1人分

生魚片/材料1[紫玉葱…6g 真鯛(白寿真鯛)…20g 塩、胡椒…各適量 ディル…3g クレイジーピー…1個] 
調味料A[塩…3g うま味調味料…少々 胡椒…少々 太白胡麻油…8g] 醤蘿蔔/材料2[大根…10g 人参…10g 胡瓜…3g 塩…適量] 
調味料B[醤油…40g 日本酒…10g 上白糖…15g 鷹の爪…2本 粉山椒…少々 太白胡麻油…10g] 
椒麻鶏/材料3[鶏胸肉…20g 紅芯大根…8g 万能葱…30g 生姜…10g 花椒粉…10g 太白胡麻油…10g 花穂…1本] 
調味料C[上白糖…50g 酢…15g 醤油…15g] 
一根麺/材料4[薄力粉…100g 強力粉…100g 塩…4g 水…75g 純ねり胡麻 白ソフトパウチ…30g] 
調味料D[醤油…35g 大蒜末(ニンニクみじん切り)…少々 鎮江黒酢…25g 太香胡麻油…20g] 
材料5[香菜…20g 白髪葱…20g 炸醤…25g 油葱酥(揚げ玉ネギ)…25g 白胡麻…少々] 
香草冰淇淋/材料6[卵…55g グラニュー糖…25g] 
生クリーム…100g バニラビーンズ…1/6本 春巻の皮…1/2枚 蜂蜜…10g 太白胡麻油…10g

  1. 生魚片:材料1の紫玉葱を繊維に沿って2mm幅に切り揃える。
  2. 真鯛を2mm幅に切り揃え、塩、胡椒で下味をする。
  3. ①、②をボウルに入れて調味料Aで味を整える。
  4. ③、ディル、クレイジーピーを皿に盛り込み、生魚片の完成。
  5. 醤蘿蔔:材料2の野菜を縦2cm、横1cm幅の絲に切り揃える。
  6. ⑤に塩を振り、2時間程重しをのせ脱水させる。
  7. ⑥の脱水後、調味料Bを入れ1晩漬け込む。
  8. ⑦をペーパータオルに取り出し、皿に盛り込み、醤蘿蔔の完成。
  9. 椒麻鶏:材料3の鶏胸肉を20分蒸し、氷水で冷ます。
  10. 紅芯大根を片に切り、型でくり抜き塩もみする。
  11. ⑨が冷めたら塩水50gに漬け、0.5cm幅の絲に切り揃える。
  12. ジューサーに万能葱、生姜、花椒粉、太白胡麻油を入れ、乳化させる。
  13. ⑫を取り出し調味料Cで味を整える。
  14. ⑪と花穂を皿に盛り込み、⑬の椒麻をかけ椒麻鶏の完成。
  15. 一根麺:材料4の薄力粉、強力粉、塩をボウルに入れ、水、純ねり胡麻 白ソフトパウチを少量ずつ入れ、同じ方向に混ぜ、ひとまとまりにする。
  16. ⑮を10分程練り、滑らかになったら断面を内側に練り込む。
  17. ⑯をポリ袋に入れ、30分程冷蔵庫で寝かす。
  18. ⑰を冷蔵庫から出し、棒状に成形し刷毛で太香胡麻油(分量外・以下同)を塗る。
  19. ⑱が常温になり、伸びる柔らかさになったら、細く棒状に伸ばしていく。
  20. ⑲が伸びなくなったら、もう一度刷毛で太香胡麻油を塗る。
  21. ⑳をうどん程の太さに伸ばし、渦になるよう巻きながらボウルに入れ、太香胡麻油を上から優しく入れる。
  22. ㉑を半日~一晩冷蔵庫で寝かす。
  23. ㉒を常温にもどし、両手で沸いたお湯へ投げ込み、2~3分程ボイルする。
  24. ㉓のお湯をザルで切り、調味料Dを入れ、味を整える。
  25. ㉔の上に材料5を盛り込み、一根麺の完成。
  26. 香草冰淇淋:材料6を混ぜ合わせ、泡立てる。
  27. 生クリームを8分立てにする。
  28. ㉖と㉗を合わせる。
  29. バニラビーンズを砕き、㉘と混ぜ合わせ冷凍する。
  30. 春巻の皮を、アルミホイルを巻いた箸に巻き、100℃の油(太白胡麻油・分量外)で狐色になるまで炸する。
  31. ㉙をスプーンでクネルし、蜂蜜をかけ、太白胡麻油で仕上げる。
  32. ㉚、㉛を盛り込み、香草冰淇淋の完成。

審査員の総評

⚫食は食べ手のお客様を喜ばせるもの。「創業300周年のお祝い」というテーマ性を設け、材料選びやレシピに落とし込む姿勢が高く評価できる。
⚫太白胡麻油、太香胡麻油、ねり胡麻を駆使して、さまざまな香り、味、テクスチャーを表現している。

麺生地に白ねり胡麻を練り込むと、強いコシがでて、歯切れもよくなることは、新たな発見。ゆでた麺にはごまのうまみが感じられ味わい深い。

佐藤洋平 / ザ・キャピトルホテル東急 星ヶ岡
1997年、秋田生まれ。仙台の調理師学校を卒業後、ザ・キャピトルホテル東急に入社し、星ヶ岡の調理に配属。現在は入社8年目で鍋担当。

公益社団法人 日本中国料理協会
https://www.jaccc.or.jp/

(2024年冬の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。