シリーズ連載300周年スイーツセレブレーション

2024.07.04

創業300周年 大森由紀子presentsスイーツセレブレーション#2 「アステリスク」和泉光一シェフ


竹本油脂の創業300周年を目前にスタートした本シリーズ連載。大森由紀子さんのナビゲートで、日本やフランスのパティシエたちに魅力的なお菓子でお祝いしていただきます。太白胡麻油や太香胡麻油、ねり胡麻がスイーツの新たな表現の可能性を広げます。第2回は、「アステリスク」和泉光一シェフが登場!

サヴァラン ドゥ レテ

スイーツ好き待望の夏のイベント「フランスパティスリーウィーク」が今年も7月に開催されます。テーマはサヴァラン。和泉光一シェフがエントリーした「サヴァラン ドゥ レテ(夏のサヴァラン)」にはごま油が潜んでいるのです。太白胡麻油とバターを同割で配合したサヴァラン生地は目が均一で細かく、シロップを含むとキメがなめらかに。シロップのラム酒の香りがスッと冴えます。トップに絞るクレーム・シャンティイはオレンジゼスト、ラム酒、太香胡麻油のトリオがエキゾチックな夏のフレーバーを醸しだしています。

太白胡麻油がサヴァラン生地をキメ細かくする

大森今回サヴァランをつくったのはなぜ?
和泉発酵生地にバターではない油脂を入れるとどうなるか、興味があったんです。サヴァランは夏によくでるアイテムなので、タイミング的にもよくて。
大森7月に開催される「フランスパティスリーウィーク」は今年のテーマがサヴァランなので、エントリー決定ね!
和泉生地には太白胡麻油、仕上げのクレーム・シャンティイには香りのある太香胡麻油をあえて使いました。香りをかいだときに、このフレーバーいけるなと感じて。ごま油のフレーバーだけだとオリエンタルに振れすぎるので、オレンジゼストとラム酒と組み合わせました。このトライアングルが醸しだす風味は、とても夏らしいんですよ。
大森確かにね、上のシャンティイ・オ・ロム・セザムから、カップの中のクレーム・ディプロマットまで一緒に口に入れると、違和感がまったくない。組み合わせの妙、というのがよくわかる。で、このサヴァランは繊細な口当たり。
和泉バターと太白胡麻油を半々で配合したら、生地のキメが細かく密で均一になりました。ふつうのサヴァラン生地は目が粗いので、大きなちがいです。味の面ではあっさりするので、夏向けのサヴァランにぴったりです。
大森キメが細かいから、シロ・オ・サヴァランをたっぷり吸っていて、口の中でジュワーッと染みでてくるのが絶妙。テクスチャーが上品だし、とてもみずみずしい。油脂の配合をアレンジしたことによって生まれた、新しいサヴァラン生地ですね。
和泉バターと太白胡麻油の割合は、季節や表現したい主役の素材に合わせて加減できます。太白胡麻油100%もありだし、太白胡麻油の割合が増えれば、むしろ他の素材の味は引き立つと思う。ただしあっさりとはするので、全体的なバランスとして、他のパーツで補填する必要がでてくるでしょう。それは合わせるクリームなのか、ラム酒の香りがすごくいいものを使うとか。バターと太白胡麻油をあらかじめ合わせるのはひと手間になりますが、油脂同士をきちんと合わせて生地に混ざりやすい状態にすることによって、時間をかけずに生地ときちんと乳化します。
大森素材の味を引きだしたいなら、本当に太白胡麻油はいいですよね。軽くても、きちんと質感がでるというか。もともとフランス菓子だからバターを使ったレシピなのであって、身近にあるいい油脂を使ってアレンジするという発想はおおいにあり。このサヴァラン、フランス人にも食べてほしい! 常に新しい素材を探しているフランスのパティシエたちに、太白胡麻油を教えてあげたいな。
和泉光一
1970年、愛媛生まれ。東京、大阪での修業を経て、調布「サロン・ド・テ・スリジェ」(現在閉店)のシェフ・パティシエを長年にわたり務める。2012年に「アステリスク」を独立開業。
大森由紀子
エートル・パティス・キュイジーヌ主宰。フランス菓子・料理研究家として、フランスの食文化を文献や歴史に基づき紹介する。2016年にフランス政府より農事功労章シュバリエ勲章を受勲。
https://www.yukiko-omori-etre.com/

レシピはこちらから
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2024/06/gomashiki152_web_omori_240614.pdf

SPOT

アステリスク

所在地:東京都渋谷区上原1-26-16タマテクノビル1F
電話:03-6416-8080
営業時間:10:00~18:00
休業日:火曜を中心に基本週2休
https://www.asterisque-izumi.com/