特集春めくおにぎり、サンドイッチ
2024.04.16
四季を味わう、おにぎりとサンドイッチ。日本料理の魂が込められた「銀座小十」奥田さんの逸品
自由奔放なおにぎり、サンドイッチ
気軽に食べられるカジュアルフードのおにぎり、サンドイッチも時代の流れとともに進化しています。変化するおもしろさがある一方で、常に変わらぬおいしさもあります。パリ、東京の三人のシェフたちのフィルターを通して、春らしいおにぎり、サンドイッチをお届けします。
銀座小十[Tokyo]
たかがおにぎり、サンドイッチされど日本料理として魂を込める
身近なおにぎり、サンドイッチという食べものを、季節感のある日本料理として表現した奥田透さん。意識したのは、アーティスティックなビジュアルと意表をつく具材の組み合わせ。そして、ごはんやパンとの“つなぎ”となる油や調味料と具の融合です。奥田さんはいいます。
「たかがおにぎりでも、ちゃんといい素材を使ってていねいにつくれば、それだけでクオリティが上がります。実は、私はツナマヨおにぎりのファン(笑)。マグロを太香胡麻油で油蒸しにして、おいしさを追求しました」
サンドイッチの辛子マヨネーズも、太香胡麻油でつくると香りやテクスチャーにおいしい化学反応が生まれて軽い食感に仕上がるといいます。パンの間から桜の香りの白和え、蕗味噌、五目煮、きんぴらなどが顔をのぞかせる6種のサンドイッチは春満載。ガブリとほおばれば、季節の一品料理となって口に解け、ごま油の香りがふわりと立ちのぼります。
おにぎり
「おにぎりとサンドイッチを日本料理で表現しようと思ったら、こんなにたくさんの種類ができてしまいました。今までになかったおもしろい世界が広がるでしょう」と奥田さん。5 種類の俵形の気まぐれおにぎりは、具だけでなくごはんにも手がかかっている。肉巻き、天むす、レタス巻き、焼きおにぎり、若布ごはんと色とりどり。どれも味わいが異なり、具材とのマッチングの妙が光る。店では炒め物によく使うという太白胡麻油に加えて、太香胡麻油の香りを生かしたインパクトのあるおにぎりだ。きちんと日本料理に仕立てたからこそ、器への盛り込みにも気を配る。
サンドイッチ
春の食材を忍ばせた和のサンドイッチは、奥田さんらしいアイデアと上品な味わいとともに、きちんと料理した具材が力強く迫ってくる。揚げ物、炒め物、煮物、和え物など料理のバリエーションも豊かで、日本料理の奥深さを感じさせる。どの具材にも焙煎香が心地よい太香胡麻油を使って味にメリハリとコクを添え、繊細な和テイストのサンドイッチでありながらパワフル。
1969年、静岡生まれ。10年間の修業後、1999年に静岡に「春夏秋冬 花見小路」開店。2003年「銀座小十」、2011年「銀座奥田」を開店し、2012年に「銀座小十」を移転。2013年にはパリに「OKUDA」開店。
SPOT
銀座小十
所在地:東京都中央区銀座5-4-8 カリオカビル4F
電話:03-6215-9544
営業時間:12:00~12:30L.O.、18:00~21:00L.O.
休業日:日、祝
http://www.kojyu.jp/
要予約で昼3万800円、夜3万8500円
(2024年春の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。