特集香り中華

2025.02.13

清朝の乾隆帝の好物。旬のみずみずしい白菜を白ねり胡麻のタレで和える、「蓮香」小山内シェフの乾隆白菜


究めるごま油、豊潤・淡麗な銘菜

中国料理ほど油の存在が大きい料理はありません。だからこそ、いい油を選ぶことは料理の質を上げ、食べる人の健康にもつながります。ここでご紹介する5店の銘菜を通して、ごま油の価値をあらためて究めます。

小山内耕也[蓮香]

乾隆白菜

乾隆帝の好物と伝わる、滋味深い北京料理

清朝の最盛期に君臨した乾隆帝の好物だったといわれ、その名を冠した栄誉ある一品が、この乾隆白菜。生の白菜を白ねり胡麻のタレで和えるだけの簡素な料理ですが、旬のみずみずしい白菜の甘い水分が濃厚なタレとあいまって、えもいわれぬおいしさが生まれます。
「当時は宮廷料理といっても質素だったので、ごまの香味は贅沢だったと思います。辣油をかけたらまちがいなくうまいけれど、清の時代は中国にまだ唐辛子は伝播していなかったので、料理のルーツを考えるとNG。本当に滋味深く味わう料理です」
ただひとつ、小山内シェフがオリジナルで手を加えたのは、仕上げに太白胡麻油を回しかけること。これで白菜から水分がでにくくなり、口当たりもなめらかになります。皇帝が愛した味は、もしかしたら“やみつき白菜”ブームを巻き起こしそうな予感がします。

RECIPE

乾隆白菜

材料/つくりやすい量

白菜(内側のみ)…適量 合わせダレ[純ねり胡麻 白ソフトパウチ…120g 醤油…50g 砂糖…50g 黒酢…20g 老抽(中国たまり醤油)…少々] 太白胡麻油…適量

  1. 白菜は内側の柔らかい芯部分のみを使い、縦長に大きめに切る。
  2. 合わせダレの材料をよく混ぜ合わせる。
  3. ①と②をなじむ程度に和える。
  4. 盛りつけし、太白胡麻油を回しかける。
寒い時期の旬の白菜を使い、内側の柔らかくみずみずしい芯部分のみを使う。滋味でありながら、贅沢。
白ねり胡麻の甘じょっぱいタレはかなり濃厚だが、黒酢もきいて意外にサッパリ。老抽の塩梅でおいしそうな茶色にする。
太白胡麻油を回しかけ、白菜の水分をでにくくするのが小山内シェフのアイデア。タレのテクスチャーもなめらかになる。
小山内耕也
1976年、青森生まれ。「銀座アスター」、南青山「エッセンス」、江西省での修業などを経て、麻布十番「ナポレオンフィッシュ」(閉店)の料理長に。2015年に「蓮香」を独立開業。

SPOT

蓮香(レンシャン)

所在地:東京都港区白金4-1-7
電話:03-5422-7373
営業時間:18:30~23:00
定休日:不定
https://rensyan.tenpo-lp.com/

(2024年冬の号掲載)
 ※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。