シリーズ連載300周年スイーツセレブレーション

2024.05.28

創業300周年 大森由紀子presentsスイーツセレブレーション#1 「アテスウェイ」川村英樹シェフ


マルホン胡麻油の創業300周年を目前にスタートした本シリーズ連載。大森由紀子さんのナビゲートで、日本やフランスのパティシエたちに魅力的なお菓子でお祝いしていただきます。太白胡麻油や太香胡麻油、ねり胡麻がスイーツの新たな表現の可能性を広げます。第1回は、「アテスウェイ」川村英樹シェフが登場!

シュー ア ラ フランボワーズ エ レルブ

フランボワーズのピンク色が映える、シューのプティガトー。川村英樹シェフは軽くサクリと焼きあげるパータ・シューには、バターと太白胡麻油を同割で配合します。シューの中にはクレーム・ディプロマットを絞り、その上にはドーム型のハーブのムースをのせて、フランボワーズのコンポートでツヤツヤに。ハーブはミントとディル、タイム、ローズマリーを太白胡麻油でアンフュゼし、ピュアな香りを引きだします。ハーブの香りをケーキに生かすためにたどり着いたのが、太白胡麻油でつくるこのフレーバーオイルです。

太白胡麻油がシュー生地を軽くする

大森フランボワーズのツヤのある色が鮮やかで、おめでたいイメージのプティガトーをつくってくださってありがとうございます。これはシューがベースとなるお菓子で、シュー生地と、その上にのせたハーブのムースに太白胡麻油を使っているんですね。
川村太白胡麻油はもうだいぶ前から、シュー生地に使っています。といっても、シュー生地すべてにではなくて、軽く浮かせたい場合です。バターと太白胡麻油を半々に配合すると、浮きがよく膨らみ、皮が薄くのびて軽い食感になります。ふだん店でだしているシュー・ア・ラ・クレームもそうですし、今回のようにムースと合わせてプティガトーのパーツのひとつとして使うような場合や、サントノーレにする場合は、この軽いタイプのシュー生地がいいんです。逆にエクレアのようにフォンダンをつけたりする濃厚な仕上げの場合は、バターだけでつくります。
大森確かにシュー自体は軽いけれど、上にのせて焼いたクランブルの食感もあるから、印象としては弱くない。中に詰めたクレーム・ディプロマットやプラリネとの相性もいいものね。そうか、シュー生地に太白胡麻油を入れて食感を変える手があったとは。
川村ハーブのムースには、ミントと太白胡麻油でつくったフレーバーオイルを入れています。
大森フレーバーオイルは、フランス料理で太白胡麻油を活用するテクニックとしてよく使われているらしいのよ。
川村やっぱり同じことを考えるんですね。ムースには数種類のハーブを使いますが、香りの余韻をもたせるために、ミントはフレーバーオイルにして、ハーブの香りを補強しています。
大森あえてフレッシュのハーブを使うのは、香料だとファーストの香りのインパクトは強いけれど、余韻が続きにくいから?
川村そうなんです。この数年ずっとケーキでどう香りを表現するか考えていて、とくにハーブに惹かれています。
大森お菓子ではハーブの香りは表現しにくいのに。
川村それで太白胡麻油にハーブの香りを移してフレーバーオイルとして活用するようになりました。はじめは南仏のイメージもあってオリーブオイルでつくりましたが、今回は太白胡麻油でハーブの香りをピュアにそのまま引きだしています。
大森食べはじめから食後までずっと長く続くハーブの余韻は、ミントのフレーバーオイルが底支えしていると。爽やかで春の到来を感じるプティガトーに仕上がっています。
川村英樹
新潟生まれ。東京プリンスホテル、フランスで修業。2001年に「アテスウェイ」のシェフ・パティシエに就き、2007年にオーナーシェフとなる。
大森由紀子
エートル・パティス・キュイジーヌ主宰。フランス菓子・料理研究家として、フランスの食文化を文献や歴史に基づき紹介する。2016年にフランス政府より農事功労章シュバリエ勲章を受勲。
https://www.yukiko-omori-etre.com/

レシピはこちらから
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2024/03/web_gomashiki151_omori_240310.pdf

SPOT

アテスウェイ

所在地:東京都武蔵野市吉祥寺東町3-8-8 カサ吉祥寺2
電話:0422-29-0888
営業時間:11:00~18:00
休業日:月、火
https://www.atessouhaits.biz/

(2024年春の号掲載)
 ※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。