特集進化形のやすらぎスイーツ

2022.01.13

おでん×フレンチの日本橋室町「平ちゃん」直伝!看板商品とおでんのご家庭向けレシピ


おでんとフレンチが融合したら!? そんな遊び心あるレストラン「平ちゃん」が人気です。おでん種がおいしく変身するレシピをお届けします。

おでんのイノベーション

東京・日本橋室町にある人気フレンチレストラン「ラペ」が、2021年6月に姉妹店としておでん屋「平ちゃん」を開店して注目を浴びています。もともとオーナーの松本一平シェフの実家はおでん屋さん。ラペで新年限定で常連客におでんコースを提供したところ、噂が噂を呼び大人気になり、ついにお店を構えるようになりました。

「おでんって、懐が深い料理なのに、和食のなかでも天ぷらや寿司よりワンランク下の印象がありますよね。このイメージを変えたいんです」

と松本さん。ラペでスーシェフを務めていた根内大和さんが平ちゃんをまかされ、「イノベーティブおでん」が生まれました。

「フレンチでもおでんでも僕たちの基本的な考え方は同じ。生産者さんの想いを受け取り、素材の持ち味をきちんと伝えます。そのために和食とフレンチの技法が生きています」

季節が変われば素材も変わり、素材が変われば生産者も料理法もさまざま。だから平ちゃんのおでん種には四季があり、一品ごとにストーリーがあります。

もうひとつ同店が大事にしているのがサステナブルな取り組み。CoC認証を取得し、魚介類はMSCやASCの認証水産物を取り入れ、未利用で廃棄される食材も積極的に活用しています。

ご紹介するのは、平ちゃんの看板商品やおでん種の家庭向けアレンジレシピ。だしを含んだおでん種は、翌日のリユースもおすすめです!

平ちゃんの根内大和シェフ(左)と、オーナーでありレストラン「ラペ」の松本一平シェフ。二人の柔軟な発想からイノベーティブおでんが誕生。

おでん春巻き

おでんになかった「食感」の発想が斬新

平ちゃんの名物!おでんなのに春巻きな中身の正体は!?
ジューシーな大根と豚肉です

RECIPE

おでん春巻き

材料/5本分

豚ロース肉…150g 液体塩麹…10g おでんの大根…2切れくらい 春巻の皮…5枚 揚げ油…適量(太白胡麻油3:太香胡麻油1の割合) 辛子…適量

  1. 豚肉は液体塩麹に1日漬ける。
  2. ①、おでんの大根をそれぞれ2.5cm角に切る。
  3. 春巻の皮の中央に②の豚肉、大根各2切れを一列に交互に並べて巻き、水溶き片栗粉(分量外)でとめる。
  4. 揚げ油を180℃に熱し、③を1分30秒揚げ、網に取りだして5分やすませる。もう一度1分30秒揚げて5分やすませ、3回目はキツネ色に揚げる。
  5. 辛子を添えて供する。

帆立のクネル

油脂分たっぷり、ふわふわ、しっとり。フレンチのテクでつくる帆立のつみれ

ふわっふわ、しっとり、ほろほろ

RECIPE

帆立のクネル

材料/約18個分

帆立貝柱…200g 卵白…25g 片栗粉…4g 太白胡麻油…70g 塩…2g おでんだし(→上記)…適量 木の芽…適量 
*帆立貝柱はMSC認証品を使用

  1. 帆立貝柱をフードプロセッサー(容器は冷蔵庫でよく冷やしておく)でなめらかにし、卵白、片栗粉も少しずつ加えてよく練り混ぜる。
  2. ①に太白胡麻油を加えてさらに回し、塩も加える。
  3. ②を氷にあてたボウルに移し、混ぜながらよく冷やして締める。
  4. スプーンでクネル形(フットボール形)にとり、静かに沸いたお湯に落として下ゆでする。
  5. おでんだしに④を入れて温める。木の芽をあしらって供する。

がんもどき

たっぷりのきんぴらごぼうを包みこむふわふわ豆腐

食欲そそるごま油の香りがふわ~

RECIPE

がんもどき

材料/約20個分

A[絹ごし豆腐…350g 山芋…40g 片栗粉…30g 卵…1個] B[ゴボウ…1/2本 ニンジン…1/2本 太香胡麻油…適量 淡口醤油…10g 酒…10g みりん…10g] 揚げ油…適量(太白胡麻油3:太香胡麻油1の割合)  おでんだし(→上記)…適量 ショウガのすりおろし…適量

  1. 豆腐は250gになるまで水切りする。
  2. Bのゴボウとニンジンをせん切りにし、太香胡麻油を熱して炒め、まだ火が通りきらないうちに淡口醤油、酒、みりんを加えて火をとめる。
  3. Aの材料をフードプロセッサーにかけてなめらかにする。
  4. ③に②を加えて混ぜる。柔らかいので、冷蔵庫にしばらく入れて締めてから25gずつに分けて丸める。
  5. 揚げ油を180℃に熱し、④を揚げる。
  6. おでんだしに⑤のがんもどきを入れて軽く温める。ショウガのすりおろしを添えて供する。

鶏つくね

つくねに練り込んだごま油がおでんだしにじわじわ染みだす

つくねのごま油でおでんだしが味変

RECIPE

鶏つくね

材料/約20個分

A[鶏ひき肉…250g 鶏軟骨…75g 卵…1個 長ネギ(みじん切り)…50g ショウガ(みじん切り)…14g 片栗粉…15g 醤油…5g 圧搾純正胡麻油…6g 塩…適量 おでんだし(→上記)…適量 柚子こしょう…適量

  1. 鶏軟骨はフードプロセッサーでミンチ状にする。
  2. Aの材料をよく練り合わせる。
  3. 25gずつに分けて丸め、お湯で下ゆでする。
  4. おでんだしに③を入れて軽く温める。柚子こしょうを添えて供する。

鯛茶漬け

平ちゃんの締めの定番。自慢のおでんだしを注いでいただきます

おでんだしとねり胡麻の香り

RECIPE

鯛茶漬け

材料/1人分

真鯛…60g ごまだれ(→下記)…30g ミョウガ…適量 大葉…適量 ごはん…適量 おでんだし(→上記)…適量 
*真鯛はASC認証品を使用

  1. 真鯛を薄く切り、ごまだれと合わせる。盛りつけて、せん切りにしたミョウガと大葉を添える。
  2. ごはん、熱々にしたおでんだしとともに供する。

RECIPE

ごまだれ

材料/約100g分

コクと香りのねりごま 白…40g 醤油…25g 煮切り酒…15g みりん…7g 水飴…5g おでんだし(→上記)…5g いり胡麻 白…5g 

  1. 材料すべてを混ぜ合わせる。

平ちゃん流 おでんだしのとり方

煮詰めた昆布だしがベース

RECIPE

平ちゃん流 おでんだしのとり方

材料/約3.5l分

水…4l だし昆布…50g(約20cm×25cm) 厚削り、薄削りの鰹節…各25g A[白醤油…160g 酒…120g みりん…60g]

  1. 水に昆布を一晩浸ける。
  2. ①を弱火にかけ、煮立たせず湯気が立つ程度の火加減で30分煮る。
  3. 昆布を取りだして火をとめ、鰹節を加えて10分おく。
  4. キッチンペーパーで漉す。約3lのだしがとれる。
  5. ④にAの調味料を加えてひと煮立ちさせ、おでんの種を入れて温める程度に10分ほど煮る。

* だしをとった昆布と鰹節は、ひたひたの水で沸かして追いガツオをし、静かに煮立せてから漉し、二番だしにする。料理やみそ汁などに。

【翌日にはこんな楽しみ方】おでんはサステナブル

おでんだしを含んだじゃがいもだから、うまくないわけがない!

RECIPE

ポテトサラダ

材料/4人分

玉ネギ…1/4個 白ワインビネガー…適量 おでんのジャガイモ…中2個(320g) アンチョビマヨネーズ(→下記)…40g 塩…適量 おでんだしの味玉(→下記)…1個/1人分

  1. 玉ネギはスライスして塩もみし、水で洗い流す。ひたひたの白ワインビネガーに漬ける。
  2. おでんのジャガイモをフォークでつぶし、①、アンチョビマヨネーズと合わせ、塩で味を調える。
  3. おでんだしの味玉をのせる。

RECIPE

アンチョビマヨネーズ

材料/約270g分 

A[太白胡麻油…200g アンチョビ…15g 玉ネギ(スライスして火を入れておく)…15g ニンニク(みじん切り)…少々] B[卵黄…20g ディジョンマスタード…15g] 白ワインビネガー、塩…各少々

  1. Aをミキサーでなめらかにし、裏漉しする。
  2. ボウルにBを入れて泡立て器でよく混ぜ、①を少しずつ加えて乳化させ、白ワインビネガー、塩で味を調える。

RECIPE

おでんだしの味玉

材料/4個分

卵…4個 おでんだし(→上記)…適量 

  1. 小鍋に水と酢、塩各少々(分量外)を入れて沸かし、冷蔵庫からだした冷たい卵を6分30秒ゆでる。氷水にとって冷まし、カラをむく。
  2. 容器に①を入れて温めたおでんだしを漬かるまで注ぎ、常温まで冷ます。

おでんのじゃがいも活用レシピその2

RECIPE

おでんコロッケ

材料/4個分

おでんの牛スジ…100g おでんのコンニャク…50g おでんのジャガイモ…大2個(400g) 塩…適量 揚げ油…適量(太白胡麻油3:太香胡麻油1の割合) 薄力粉…適量 卵…1個 パン粉…適量 辛子…適量

  1. おでんの牛スジとコンニャクを1cm角に切る。
  2. おでんのジャガイモをフォークでつぶす(冷めていれば電子レンジなどで温めてから)。
  3. ①と②を混ぜ、塩を加える。
  4. 4等分し、小判形にする。
  5. 揚げ油を180℃に熱し、④に薄力粉、溶いた卵、パン粉の順に衣をつけて揚げる。
  6. 辛子を添えて供する。

具の味が染みでただしにごま油が美味

RECIPE

おでんだしのにゅうめん

材料/1人分

そうめん…1束 おでんの残りのだし…約300ml ミョウガ、万能ネギ…各適量 太香胡麻油…適量

  1. おでんの残りのだしを漉す。
  2. そうめんを硬めにゆで、水にとって洗う。
  3. ①を火にかけ、②を入れて温める。
  4. 盛りつけて、せん切りにしたミョウガ、斜め薄切りにした万能ネギを添え、太香胡麻油を好みでかける。

昆布がきいたおでんだしは鍋にも活用度大

RECIPE

ぶりしゃぶ

材料

ブリ、春菊…各適量 おでんだし(→上記)…適量 万能ネギ、ポン酢…各適量 かけ旨ごま油 ワイルド…適量 いり胡麻 白…適宜

  1. ブリは厚さ5mmくらいに薄く切る。春菊は食べやすい長さに切る。
  2. おでんだしを鍋に入れ、沸かさず湯気が上がるくらいの火加減にする。①のブリをしゃぶしゃぶにし、春菊も軽く火を通す。
  3. 斜め薄切りにした万能ネギを添え、ポン酢とかけ旨ごま油 ワイルドで食べる。好みでいり胡麻 白をふる。

◉ 締めはごはんを入れておじやに。

食後にすべてのお客に手渡しするこの包みは、おでんだしをひいた鰹節や昆布でつくった自家製のふりかけ。素材を最後の最後までいただく。

サステナブルなMSC、ASC認証の魚介類

世界の多くの国で、水産資源を守るサステナブルなシーフードとして認められているのがMSCとASCの認証水産物。日本でも大手スーパーなどで導入が進み、毎日の食生活でも手に入れやすくなっています。これから先長い将来もずっとおいしい魚を食べつづけられるように、下の2つのラベルを目印にお買い物を。

SPOT

平ちゃん

所在地:東京都中央区日本橋室町1-12-10 J1ビルB1F
電話:050-3623-1723
営業時間:11:30~14:30、18:00〜22:30(20:00L.O.)
休業日:木
https://heichan.jp/
ランチコース4950円、ディナーコース9900円

(2021年冬の号掲載)
 ※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。