特集ごま油の神業レシピ
2021.12.16
【神業レシピ3】ごま油で、香りふわり。昭和10年創業「木乃婦」髙橋拓児さんのきんぴらごぼう
木乃婦 髙橋拓児さんのきんぴらごぼう
表面は香ばしく炒りつけた味なのに、ゴボウやレンコンの芯のほうは根菜の滋味豊か。こんなに味わい深いきんぴらごぼうをつくるには、実は「炊く」工程が肝心と髙橋拓児さん。はじめは多めの太白胡麻油で強火で炒りつけてゴボウの香りを引きだし、油に香りを吸わせます。そこにダシを注ぎ、油とダシの中でグツグツ。調味料を加えるのは最後で、太香胡麻油といり胡麻の香りで仕上げます。ほんの少しシャキッ、ゴボウの香りがふわり。家庭のおかずが見違えるように大変身します。
RECIPE
きんぴらごぼう
材料/ 4人分
ゴボウ…正味120g レンコン…正味60g ニンジン…正味40g エリンギ茸…60g 太白胡麻油…大さじ2 ダシ…約500ml 酒…大さじ3 醤油…大さじ1と1/3 みりん…大さじ1と1/3 砂糖…小さじ1/2 太香胡麻油…小さじ2 いり胡麻 白*…小さじ2 一味唐辛子…少々
*洗い胡麻 白を中火で香ばしく煎って加えれば、さらに香りがよくなる。
- ゴボウはタワシでよく洗い、長さ3cmのマッチ棒状に切る。酢水(水500mlに対して酢大さじ1)に5~10分さらしてアク止めする。
- レンコンは皮をむいて縦4等分に切り、切り口の繊維がなめらかになるように表面を切り整える。さらに厚さ2mmのイチョウ切りにし、ゴボウと同様に酢水にさらす。
- ニンジンは皮をむき、ゴボウにそろえて切る。
- エリンギ茸は軸をゴボウにそろえて切り、傘は縦4等分に切ってから厚さ2mmに切る。
- フライパンを強火で熱し、太白胡麻油を入れ、ゴボウを炒める。
- 全体に油がまわったら、レンコン、ニンジン、エリンギ茸を順に加えながら同様に炒めていく。
- エリンギ茸に油がまわったら、ダシと酒を加えて強火で炊く。
- 煮汁がほぼなくなったら、醤油、みりん、砂糖を加えてそのまま炒りつける。
- 水分がほぼなくなったら、太香胡麻油を加えてなじませ、いり胡麻 白、一味唐辛子を加えて火をとめる。
神業のコツ2
多めの太白胡麻油で火が通りにくいものから順に炒める。強火で野菜の香りを引きだし、その香りが油に移る。神業のコツ3
ダシを加えて強火のまま炊く。素材の香りが移った油とダシが芯まで染みわたり、うまみや風味を抱く。きちんとはじめに炒りつけていれば、柔らかくはなっても、シャキッとした食感はきちんと残る。「恐れず炊く」こと!神業のコツ4
ゴボウを食べてみて、ほんの少しシャキッとした食感が残っている程度に火が通っているかを確認してから、調味料を加える。火通りがまだの場合は、ダシを少し足してさらに火を通す。神業のコツ5
強火でフライパンをあおりながら炒りつけ、上下すべてにまんべんなく調味料がからむようにする。神業のコツ6
最後の最後に太香胡麻油といり胡麻 白を加え、香りをだす。
和食の基本中の基本は、きれいに切ること。よく切れる包丁で繊維をつぶさずにきれいに切るだけで、料理の味わいや色合いが澄んでおいしくなる。とくにこのきんぴらごぼうのレシピはダシで炊くため、煮くずれてデンプンが溶けだすと煮汁がにごってしまうので、ていねいに切ることを心掛けよう。
ほうれん草のごま和えにひと手間
ごまが決め手のもう一品「ごま和え」は、ゆでたほうれん草を一度ダシで洗い、さらに5分漬けてから和えるのが、水っぽい味にならないプロのコツ。和え衣はコクと香りのねりごま 白30gと煮切り酒大さじ2、淡口醤油、砂糖各小さじ1を合わせ、漬けたダシ適量でのばしてつくります。
髙橋拓児
1968年、京都生まれ。「木乃婦」三代目主人。「東京吉兆」で5年修業後、実家で祖父と父のもと研鑽を積む。2015年には京都大学大学院農学研究科食品栄養科学の修士課程を修めるなど、京料理をアカデミックに掘り下げている。
SPOT
木乃婦
所在地:京都市下京区新町通仏光寺下ル岩戸山町416
電話:075-352-0001
営業時間:12:00~15:00(13:30L.O.)、18:00~21:30(19:30L.O.)
休業日:水
http://www.kinobu.co.jp/
(2020年冬の号掲載)
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