特集創業300周年記念フランス大特集 ごまの大冒険
2025.05.20
ごま油とフランス料理のハーモニー。ランス「ラ・グランド・ジョルジェット」のラファネルシェフが奏でる2皿のレシピ
ランスの観光の要所、ノートルダム大聖堂の向かいにあるオテル・ラ・カセルヌ・シャンジー。こちらのメインダイニング「ラ・グランド・ジョルジェット」でシェフを務めるジュリアン・ラファネルさんは、若手の注目株です。若いスタッフも多いレストランでは、フランスの伝統料理と現代的なエスプリをうまく調和させています。
「これまでごま油はアジアの料理に使うものとカテゴライズしていましたが、今回きちんと向かいあうチャンスを得て、フランス料理に合う香りだと実感しました。フレーバーの濃淡など多様性があるので、素材との組み合わせや調理法がいろいろと考えられます」
とラファネルシェフ。マトウダイを圧搾純正胡麻油でコンフィし、低温で火を入れながら香ばしさもまとわせるなど、ごま油を感じる2皿を紹介してくれました。
マトウダイのごま油コンフィ ジャガイモのバリエーション
Saint-Pierre confit à l’huile de sésame
Déclinaison de pomme de terre

マトウダイのコンフィとジャガイモのロールに圧搾純正胡麻油、ポム・スフレには太白胡麻油を使い分ける。2つの温度帯で揚げてふくらませるポム・スフレは「太白胡麻油で揚げたら、色が美しく、ジャガイモの味がとてもよくでた。驚きの発見」とラファネルシェフ。
RECIPE
マトウダイ
材料/4人分
マトウダイ…1尾 ホワイトバルサミコ酢…適量 昆布…200g 圧搾純正胡麻油…適量 海苔…5枚
- マトウダイをフィレにおろし、10%の塩水に8分漬ける。
- ①にハケでホワイトバルサミコ酢をぬり、昆布を分量のうちから適量のせる。これを真空パックにしてしばらくおく。
- 56℃の圧搾純正胡麻油で②をコンフィする。
- 海苔をパウダー状にし、③にまぶす。
RECIPE
ポム・スフレ
材料/4人分
ジャガイモ(アグリア品種※)…1個 太白胡麻油…適量
※黄色味が強くフライドポテトやグラタンに適した品種
- ジャガイモを厚さ2~3mmにスライスし、カリソン型でぬく。
- 太白胡麻油を140℃と180℃の2つの温度帯に熱する。低温の鍋で①を揚げ、ふくらみはじめたら、高温の鍋に移して完全にふくらみカリカリになるまで揚げる。
RECIPE
ジャガイモのロール
材料/4人分
ジャガイモ(アグリア品種)…1個 圧搾純正胡麻油…適量
- ジャガイモをピーラーで薄く帯状に長さ1mくらいにスライスする。
- マトウダイとともに真空パックした昆布(上記)と①を直径4cmに巻く。長さ2cmに切る。
- 圧搾純正胡麻油を180℃に熱し、②を7分揚げる。
- 油を切り、ガスバーナーで焼き目をつける。半分に切る。
RECIPE
サバイヨン・セザム
材料/4人分
無塩バター…250g 太香胡麻油…125g A[全卵…3個 卵黄…3個分 ホワイトバルサミコ酢…適量 塩、コショウ…各適量]
- マトウダイとともに真空パックした昆布(上記)の残りをバターでアンフュゼする。
- ①のバター125gと太香胡麻油を合わせて温める。
- Aを泡立て器で混ぜる。
- ②を③に混ぜながら加える。
- エスプーマサイフォンに入れ、64℃の湯煎で30分加熱する。
RECIPE
盛りつけ
材料/4人分
揚げた昆布※…適量 玉ネギのピューレ…適量 オキザリス、ノコギリソウ…各適量 胡麻油 一番搾り…適量
※昆布を乾燥させて太白胡麻油で揚げ、細かく砕く
- マトウダイを盛りつける。ポム・スフレを添え、上に揚げた昆布をのせる。ジャガイモのロールを盛りつけ、上に玉ネギのピューレを絞り、オキザリス、ノコギリソウを添える。
- サバイヨン・セザムをソース用鍋に入れ、胡麻油 一番搾りをところどころにたらす。テーブルで皿に流す。

クレソンで巻いたラム ニンジンのランス産マスタード仕立て
Agneau enrobé de cresson
Carrotte à la moutarde de Reims

ラムと3種類のニンジンのガルニチュールを盛り込んだ、チャーミングな一皿。「すっと立つ香りが気に入った」という胡麻油 一番搾りをラムの仕上げにぬってテリをだし、ソースにも油滴をたらして香りを立たせる。ガルニは手前のニンジンのロール(キャロットラペ)には太香胡麻油、ミニカラーニンジンのパピヨットには圧搾純正胡麻油の香りをまとわせ、皿から鼻腔に届くごま油の香りのハーモニーを楽しませる。
RECIPE
セル・ダニョ
材料/4人分
セル・ダニョ(仔羊鞍下肉)…1本 粗塩…適量 エリンギ茸…100g 無塩バター…適量 鶏ムネ肉…250g 生クリーム…200g 卵白…60g クレソンのクロロフィル※…適量 豚の網脂…適量 胡麻油 一番搾り…適量
※クレソン2束の葉を多めの水とともにミキサーにかけて漉し、中火にかける。浮いてきた色素をすくい取って水気をよく絞る
- 仔羊鞍下肉からフィレを切りだし、余分な脂身を取りのぞき、粗塩をまぶして10分おく。
- 鞍下からフィレ・ミニョンを切り分け、細かくきざむ。
- エリンギ茸を小さい角切りにし、バターでソテーする。
- 鶏ムネ肉、生クリーム、卵白をフードプロセッサーにかけ、きめ細かいペースト状にする。
- ②、③、④、クレソンのクロロフィルを混ぜて緑色のファルスをつくる。
- 網脂に⑤を薄くのばし、①を巻く。真空パックし、56℃のスチームコンベクションオーブンで約1時間30分加熱する。
- ⑥を胡麻油 一番搾りで焼いて焼き色をつけ、切り分ける。
RECIPE
ニンジンのタルトレット
材料/4人分
黄色ニンジン…1本 ニンジン…5本※ 無塩バター…適量 塩、コショウ…各適量 パン・ド・ミ(厚さ6mm)…適量
※ニンジンのロール、ランス・マスタードとニンジンのソースにも使う
- 2色のニンジンを薄切りにし、直径8mmぬき型でぬく。蒸す。
- ニンジン適量を薄切りにして2mm角に切り、バターでソテーする。
- ニンジン1本を薄切りにしてバターでソテーし、塩、コショウをする。ミキサーにかけ、フォン・ド・ヴォライユ(分量外)で濃度を調節する。このピューレは盛りつけにも使う。
- ②と③を混ぜ合わせ、塩、コショウで調味する。
- パン・ド・ミを麺棒で薄くのばし、直径5cm丸型でぬく。タルトレット型に敷き込み、180℃のオーブンで約6分焼く。
- ⑤に④を詰め、①を各色8枚ずつ盛りつける。
RECIPE
ミニカラーニンジンのパピヨット
材料/4人分
ミニカラーニンジン…16本 圧搾純正胡麻油…適量 ニンニク…1かけ タイム…1本
- ミニキャロットに圧搾純正胡麻油、軽くつぶしたニンニク、タイムで下味をつける。
- アルミホイルで包み、鉄板の上で蒸し焼きする。
RECIPE
ニンジンのロール
材料/4人分
ホワイトバルサミコ酢…5ml 太香胡麻油…5ml シーアスパラガス…20g
- ニンジン80gを細切りにし、ホワイトバルサミコ酢、太香胡麻油、きざんだシーアスパラガスと合わせる。
- 巻いて形をつくる。
RECIPE
ランス・マスタードとニンジンのソース
材料/4人分
オレンジ…5個 セル・ダニョの肉汁…少量 無塩バター…約70g ランス・マスタード…30g
- 残りのニンジンとオレンジの果肉をジューサーにかける。
- ①を加熱して少し水分を飛ばし、セル・ダニョの肉汁を加える。
- 冷たいバターを加えてモンテし、マスタードを加える。
RECIPE
仔羊のジュ
材料/4人分
鞍下肉の残りや骨…適量 太白胡麻油…適量 ニンジン、ポワロー、玉エギ、ニンニク、タイム…各適量 白ワイン…適量 フォン・ド・ヴォライユ…適量
- 鍋に太白胡麻油を敷いて鞍下肉の残りや骨をしっかり焼き、ニンジン、ポワロー、玉ネギ、ニンニク、タイムを加えて炒める。
- 余分な油を捨て、白ワインで2回デグラッセして煮詰め、最後にフォン・ド・ヴォライユで少しのばす。
RECIPE
盛りつけ
材料/4人分
マリーゴールド…適量 胡麻油 一番搾り…適量
- 皿にセル・ダニョを2切れ盛りつけ、右端にニンジンのピューレでラインを描く。
- ニンジンのタルトレット、ミニカラーニンジンのパピヨット、ニンジンのロールを盛りつける。ランス・マスタードとニンジンのソースを落とし、マリーゴールドをちらす。
- 仔羊のジュに胡麻油 一番搾り少量を加えて油滴をつくり、皿に流す。

Julien RAPHANEL
1992年生まれ。「オテル・デュ・パレ・ビアリッツ」、ランス「ドメーヌ・レ・クレイエール」などを経て、2021年に「ラ・グランド・ジョルジェット」のシェフに就任。
Les recettes en français
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2025/03/gomashiki154_web_lagrandegeorgette.pdf

SPOT
ラ・グランド・ジョルジェット LA GRANDE GEORGETTE
Hotel La Caserne Chanzy
18 rue Tronsson Ducoudray
51100 Reims
tel:03 26 83 18 18
https://www.lacasernechanzy.com/

(2025年春の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。