特集創業300周年記念フランス大特集 ごまの大冒険

2025.03.25

「デュカス・パリ」の料理哲学とごまの融合。オベルソンシェフが奏でるマリアージュレシピ


創業300周年記念の今号、本誌は特集全店でフランスロケを敢行しました。5000年以上前にアフリカで芽生え、全世界に広まったごまはグローバルな素材。グルメ大国フランスのシェフたちには、ごまはどのように映るのでしょうか。
巻頭を飾るのは、世界的に有名な料理人アラン・デュカス氏が設立したデュカス・パリから、パティスリー部門でエグゼクティブシェフを務めるドゥグラス・オベルソンシェフが登場です。
レモンとごまを組み合わせたアシェット・デセール(皿盛りデザート)は、喉の奥がキュンとしそうなくらい強い酸味をくりだすパーツを織り重ね、ごま油やねり胡麻の香味やまろやかな油脂分が、酸味を柔らかくまとめる構成。旅先での素材との出会いをふり返り、日本を感じさせるごまと、ごまをよく食べる中近東のルーミ(黒レモン)をチョイス。オーガニックのレモンと、オレンジに近いニュアンスをもつマイヤーレモンの2種の柑橘を合わせています。
「ごまと柑橘類のマリアージュは、いい驚きでした。実はソースがわりの『ごま油とハチミツのマヨネーズ』は、これ単体で食べると甘い・オイリー・しょっぱい味。でもデセールとはすべての要素が融合したときに、驚きのインパクトを生むことが大切で、そのために多くのパーツを重ねるのです。これはデュカス氏がよくいう、料理仕立てのデセール(Le dessert cuisiné)のフィロソフィーです」
とオベルソンシェフ。ごまの可能性にはおおいに広がりがあると語りました。ごまのフランス大冒険がはじまりました!

レモン、ごま油とごまミルク

CITRONS, HUILE ET LAIT DE SÉSAME

2種のレモンとルーミ(黒レモン)の酸味、ごまの香りとまろやかな味わいが織り重なる、7つのパーツから成る一皿。すっぱさが押し寄せたかと思うと、ごまがそれをやさしくセーブし…という波が幾重にも押し寄せる。

RECIPE

ごまミルク

材料/つくりやすい量

A[水…600g カソナード…500g グルコース…500g 純ねり胡麻 白ソフトパウチ…350g] B[水…400g カソナード…25g キサンタンガム…8g]

  1. Aを103℃まで加熱し、純ねり胡麻 白ソフトパウチを加えてサーモミックス(速度5、70℃)で10分混ぜる。
  2. Bを泡立て器でたえず混ぜながら沸騰させ、①に混ぜながら加える。冷蔵で保存する。

RECIPE

ごまミルクレモネード(2L分)

材料/つくりやすい量

A[レモン…1500g(フランス産オーガニック・以下同) ごまミルク(上記)…250g スターアニス…5g シナモンスティック…3g バニラビーンズ…2g グラニュー糖…180g オレンジフラワーウオーター…63g] 水A…1000g 水B…250g

  1. レモンを12等分にカットし、Aの材料をフードプロセッサーで混ぜる。
  2. 水Aを加えてさらに中速で5分混ぜ、漉す。残った固形物に水Bを加えて再度漉す。

RECIPE

ごまミルクレモネードのソルベ

材料/つくりやすい量

ごまミルクレモネード(上記)…1200g A[グルコース…120g 脱脂粉乳…15g 安定剤…10g] ごまミルク(上記)…360g

  1. ごまミルクレモネードのうち少量とAをプラスチック製耐熱ボウルに入れ、ラップを2重にかけ、電子レンジの最大出力で6分加熱する。ラップが液面に吸いつき真空状態になったことを確認する(Aが水分を十分吸収した目安となる)。
  2. ①と残りのごまミルクレモネード、ごまミルクを混ぜ、ジェラートマシンにかける。細長い容器に入れて冷凍保存する。

RECIPE

シトロン・コンフィの皮

材料/つくりやすい量

レモン…1000g A[水…2000g グラニュー糖…1000g] カラマンシービネガー…適量

  1. レモンの大きさや盛りつける皿の大きさに応じて、レモンを縦に3等分または4等分に切る。果肉部分を1cm切り取る。
  2. たっぷりの水を沸かし、①を3回湯通しする。
  3. Aを合わせて沸騰させ、②を70℃で約3時間煮る。柔らかく、かつ果皮がとろけない程度に。
  4. いったんレモンを取りだしてシロップを103℃まで加熱し、レモンをもどす。冷蔵で保存。
  5. 盛りつけるときにカラマンシービネガーでマリネする。

RECIPE

マイヤーレモンのペースト

材料/つくりやすい量

マイヤーレモンの皮…400g マイヤーレモンの果汁…1000g グラニュー糖…600g

  1. マイヤーレモンの皮を3回湯通しする。
  2. マイヤーレモンの果汁とグラニューを沸騰させ、①を加えてコンフィ状になるまで煮る。
  3. ミキサーにかけて細かくする。

RECIPE

ルーミのペースト

材料/つくりやすい量

マイヤーレモンのペースト(上記)…100g ルーミ(パウダー)…5g

  1. すり鉢で材料をすり混ぜる。

RECIPE

ごま油とハチミツのマヨネーズ

材料/つくりやすい量

ヒマワリのハチミツ…240g 卵黄…100g A[胡麻油 一番搾り…240g 太香胡麻油…100g] フルール・ド・セル…3g レモンの皮…5g

  1. ハチミツを103℃まで加熱し、混ぜながら卵黄に注ぎ入れる。
  2. ①にAを少量ずつ加えて撹拌して乳化させ、フルール・ド・セル、レモンの皮のすりおろしを加える。冷蔵で保存。

RECIPE

軽いレモン・ジュレ

材料/つくりやすい量

水…366g レモンの果汁…128g レモンの皮…50g ゼラチン(水でもどしたもの)…74g

  1. 水、レモンの果汁と皮を加熱し、火をとめて20分アンフュゼする。
  2. ①にゼラチンを加え、漉す。冷蔵で保存。

RECIPE

レモンのマーマレード

材料/つくりやすい量

グラニュー糖…25g アガー…4g レモンの果汁…190g 水…65g シトロン・コンフィの皮(上記)…100g レモンの果肉…100g マイヤーレモンのペースト(上記)…20g

  1. グラニュー糖とアガーを混ぜ、レモンの果汁、水を加えて沸騰させる。冷蔵庫に入れる。
  2. シトロン・コンフィの皮とレモンの果肉を小さい角切りにする。
  3. ①をゴムベラで混ぜ、②とマイヤーレモンのペーストを加えて混ぜる。冷蔵で保存。

RECIPE

盛りつけ

材料/つくりやすい量

レモン…適量 胡麻油 一番搾り…適量 ルーミ…適量

  1. 皿にシトロン・コンフィの皮、レモンのマーマレード、小さく切ったレモン、マイヤーレモンのペースト、軽いレモン・ジュレを盛りつけ、その中央にルーミのペーストを盛りつける。
  2. ごまミルクレモネードのソルベをスクープでリボン状にとり、ルーミのペーストの上にのせる。
  3. ごま油とハチミツのマヨネーズを皿に絞る。
  4. 仕上げに胡麻油 一番搾りをふりかけ、ルーミをすりおろす。

ザクザク割れるセサミサブレ

SABLÉ AU SÉSAME À CASSER

この一枚のサブレに、一体どれだけの食感が詰まっているのでしょうか。割ったときのザクリとした感触、指先でつまんだときのほろり感、カリッと軽い歯ごたえ、奥歯で感じる白ごまのザクザク食感…。イタリア・マントヴァのスブリソローナという素朴な伝統菓子を原形に、食感が楽しい焼き菓子に仕立てています。
「もとはバターでつくるルセットでしたが、半量を太白胡麻油にアレンジしました。がっしりとしたまとまりにくい生地にさらに白ごまもたっぷり入れているので、接着剤のイメージで白ねり胡麻も配合しています」
太白胡麻油を入れた生地はサクみが増して、より軽く。高温に強いので、焼成後のおいしさも長持ちします。

このサブレは軽く叩けば、ザクザクと割れてクランブル状に。太白胡麻油で軽さをだし、ねり胡麻で生地をつなげます。

RECIPE

ごまプラリネ(300g使用)

材料/つくりやすい量

白洗い胡麻…100g アーモンド(皮つき)…100g グラニュー糖…140g フルール・ド・セル…1g

  1. 白洗い胡麻を160℃のオーブンで黄金色になるまで13~15分ローストする。
  2. アーモンドは160℃のオーブンで中まで香ばしくなるまで17~18分ローストする。
  3. グラニュー糖で濃いキャラメルをつくる。
  4. ①、②、③をそれぞれ冷まし、フルール・ド・セルとともにフードプロセッサーにかける。

RECIPE

ごまのスブリソローナサブレ

材料/つくりやすい量

無塩バター…150g 太白胡麻油…150g 強力粉…600g ポレンタ…150g 白いり胡麻…300g カソナード…300g ベーキングパウダー…10g 純ねり胡麻 白ソフトパウチ…35g 全卵…200g バニラビーンズ…3g 塩…2g レモンの皮…1g

  1. フードプロセッサーでバターをポマード状にし、太白胡麻油を加えて混ぜて乳化させる。冷蔵庫で冷やしてしっかり固める。
  2. ①に強力粉を加えてソボロ状になるまで混ぜ、残りの材料も加えて同様に混ぜる。
  3. シルパンに直径9cmセルクルを置き、②を押しつけないように平らに入れる。
  4. 160℃のコンベクションオーブンで15分焼く。セルクルをはずして裏返し、ごまプラリネ300gを線状に絞る。オーブンにもどして焼き色がつくまで約10分焼く。
ドゥグラス・オベルソン
Douglas OBERSON

デュカス・パリ シェフ・パティシエ
1992年生まれ。アラン・デュカスのレストランでキャリアを積み、2019年から2021年までは「ベージュ アラン・デュカス 東京」のシェフ・パティシエを務める。2023年から同グループのシェフ・パティシエに就く。
https://www.ducasse-paris.com/

Les recettes en français フランス語のレシピはこちら
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2025/03/gomashiki154_web_alainducasse_F.pdf

(2025年春の号掲載)
 ※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。