特集香り中華

2025.02.25

一皿にして多彩な「京、静華」宮本シェフの銘菜、中華風のお造りはドレッシングが決め手


究めるごま油、豊潤・淡麗な銘菜

中国料理ほど油の存在が大きい料理はありません。だからこそ、いい油を選ぶことは料理の質を上げ、食べる人の健康にもつながります。ここでご紹介する5店の銘菜を通して、ごま油の価値をあらためて究めます。

宮本静夫[京、静華]

季節のお造りをドレッシングで食べる

10品以上のコースの前菜からメインにさしかかる中盤、キンと冷やした器で供される中華風のお造り。この一皿で口中がさっぱりとリフレッシュします。「もとは春節に食べる縁起物の料理で、大皿盛りの刺身と薬味をみんなで混ぜながら食べると金運が上がるといわれています。これをうちは季節の魚で一人盛りに仕立てています」と宮本シェフ。お造りには魚に合わせたドレッシングが添えられ、さまざまなあしらいの具とのバランス設計が見事です。生の素材を鮮度感いっぱいに食す、これがコースの抑揚を豊かにします。

静華魚生(明石鯛)

ドレッシングは小さいグラスに入れ、スタッフがお客の目の前でかけてくれる。美しいお造りやあしらいとドレッシングを混ぜ合わせて食べる。

RECIPE

静華魚生(明石鯛)

材料/1人分

明石鯛の刺身…5切れ 共通のあしらい(下記)…各適量 A[大根、紅芯大根、キュウリ、黄ニンジン…各適量 クラゲ甘酢漬け…適量 鯛の皮…適量] ドレッシング(つくりやすい量)[スダチの搾り汁…2個分 塩…5g グラニュー糖…少々 太白胡麻油…60g]

  1. 鯛は薄くそぎ切りにする。
  2. 共通のあしらいをそれぞれ用意する。
  3. Aの大根、紅芯大根、キュウリ、黄ニンジンはごく細くせん切りにし、合わせて水にさらして水気を絞る。
  4. クラゲ甘酢漬けは長さ3cmほどに切る。
  5. 鯛の皮を細く切り、湯引きにする。
  6. 器に甘酢ショウガ、③を盛りつけ、上に④をのせる。クラゲを覆うように①を盛りつける。まわりに揚げた麺生地をおき、その間にカシューナッツ、クルミをおく。鯛の上に⑤をのせ、紅タデ、赤・黄パプリカ、アサツキをあしらう。彩りをみながらエディブルフラワーを飾る。
  7. ドレッシングのスダチの搾り汁、塩、グラニュー糖を小さい泡立て器でよく混ぜ、太白胡麻油を少しずつ加えながら手早く混ぜて乳化させる。グラスに入れて⑥に添える。
明石鯛のお造りのあしらい。鯛の下に潜ませるクラゲが、中国料理らしさを感じさせる大事なポイント。鯛の皮も捨てず、湯引きにしてあしらう。
明石鯛のドレッシングは乳化させてまろやかに。

静華魚生(戻り鰹)

RECIPE

静華魚生(戻り鰹)

材料/1人分

戻り鰹の刺身…5切れ 共通のあしらい(下記)…各適量 A[キュウリ、ミョウガ…各適量 青唐辛子…適量] ドレッシング(つくりやすい量)[淡口醤油…100g 米酢…100g ショウガ…10g 胡麻油 一番搾り…15g]

  1. 鰹は薄くそぎ切りにする。
  2. 共通のあしらいをそれぞれ用意する。
  3. Aのキュウリ、ミョウガはごく細くせん切りにし、合わせて水にさらして水気を絞る。
  4. 青唐辛子は薄く小口切りにする。
  5. 器に甘酢ショウガ、③を盛りつけ、上に④をのせる。クラゲを覆うように①を盛りつける。まわりに揚げた麺生地をおき、その間にカシューナッツ、クルミをおく。鰹の上に、紅タデ、赤・黄パプリカ、アサツキをあしらう。彩りをみながらエディブルフラワーを飾る。
  6. ドレッシングのショウガはごく細かいみじん切りにする。淡口醤油、米酢、ショウガを小さい泡立て器で混ぜ合わせ、胡麻油 一番搾りを加えながら軽く混ぜる。グラスに入れて⑤に添える。
戻り鰹のお造りのあしらいは、キュウリとミョウガのせん切りと青唐辛子。清々しい香りとピリッとした辛みが、鰹の強い味に合う。
戻り鰹のドレッシングは軽く混ぜるだけであえて分離させ、材料それぞれの味がでてくるように設計。

共通のあしらい

⚫ カシューナッツ、クルミ:香ばしくローストして砕く。

⚫揚げた麺生地:手打ち麺の端生地を薄くのばして1.5cm角の菱形に切り、素揚げする。

⚫ エディブルフラワー各種

⚫ 赤・黄パプリカ:3mm角に切り、合わせて水にさらして水気を絞る。

⚫ 甘酢ショウガ:粗くきざむ。

⚫ アサツキ:小口切りにする。

⚫ 紅タデ

宮本静夫
1951年、神奈川生まれ。1983年に浜松に「静華」を開業。同店をクローズし、北京の料理学校留学を経て、2008年に京都に「京、静華」を開店。2019年にオープンキッチンに改装して現在に至る。

SPOT

京、静華

所在地:京都市左京区岡崎円勝寺町36-3 2F
電話:075-752-8521
営業時間:18:00一斉スタート
定休日:月、火、ほか不定休あり
http://kyoseika.com/

(2024年冬の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。