シリーズ連載300周年スイーツセレブレーション
2025.01.07
創業300周年 大森由紀子presentsスイーツセレブレーション#4 「フレデリック・カッセル」宮川知子シェフ
竹本油脂の創業300周年を目前にスタートした本シリーズ連載。大森由紀子さんのナビゲートで、日本やフランスのパティシエたちに魅力的なお菓子でお祝いしていただきます。太白胡麻油や太香胡麻油、ねり胡麻がスイーツの新たな表現の可能性を広げます。第4回は、「フレデリック・カッセル」宮川知子シェフが登場!
ミルフイユ・フランボワーズ・セザム
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フランス・フォンテーヌブローに本店を構える「フレデリック・カッセル」。同店のスペシャリテの一品、ミルフイユにセザムが新登場しました。白・黒ごまと白ねり胡麻、ホワイトチョコレートを固めた軽妙な食感のフィユティーヌが、フランボワーズ風味のクレーム・ムースリーヌの層の間で存在を発揮。伝統的なフランス菓子の重厚感がありながらも、フランボワーズの酸味やごまの香ばしさで軽やかに食べられる仕上がりになりました。
ごまの香味がフランス菓子のアクセントに
大森 | 最近パリを中心に、フランスではごまを使ったお菓子をよくみかけるらしくて。とくに黒ごまを使ってノワールに仕立てるのが増えたそう。いつからフランスのパティスリーではごまを使いはじめたのかしら。 |
宮川 | 私がフランスで修業していた頃にも、フォンテーヌブローの「フレデリック・カッセル」にはすでにごまのボンボン・ショコラはあったと記憶しています。使われていたのは白ごまだけでしたが。 |
大森 | ごまは私たちが思っているよりも、フランスのパティシエにはふつうに使われているのかもしれないのね。 |
宮川 | そうです、アクセントとして。この「ミルフイユ・フランボワーズ・セザム」も、ごまの香ばしさがアクセント。ホワイトチョコレートや白ねり胡麻、白・黒のいり胡麻を固めたフィユティーヌ・セザムを1層として重ねています。 |
大森 | 全体の構成でこの層がとてもきいているし、もう1層入っているジュレ・フランボワーズとごまがとても合います。このミルフイユ、さすがのパイのおいしさと、この薄さと軽さ。全体で何層? |
宮川 | 9層です。フィユタージュとクレーム・ムースリーヌ・フランボワーズを重ねる間に、フィユティーヌ・セザムとジュレ・フランボワーズをはさんでいます。クレーム・ムースリーヌ・フランボワーズのベースとなるクレーム・パティシエール・フランボワーズは、炊きあげに乳化させる油脂をバターではなく、太白胡麻油を使いました。クレーム・パティシエールのほかにクレーム・オ・ブールや生クリームも混ぜ合わせるので、クレーム・パティシエールはフランボワーズの味をしっかり強くだしたいと思いました。そうするとバターよりも、太白胡麻油のほうが素材の味自体を引きだすのが得意だなと。 |
大森 | 太白胡麻油は製菓でも使いやすい油脂ですよね。 |
宮川 | ホテルでの修業時代も、ロールケーキの生地やシフォンは太白胡麻油でつくっていたので、何ら迷うことなく使えます。だから、むしろごま油の香ばしさをお菓子に生かしたらどうなるんだろうと思ってつくったのが、太香胡麻油のシュー生地です。ごま油の香りとは気づかず、生地の香ばしさが増すので、これはいい使い方だということを発見しました。 |
大森 | 実はフランスは植物性オイルの種類が多くて、ヒマワリ、ヘーゼルナッツ、クルミ、グレープシード、オリーブ…。太白胡麻油も使い甲斐のある、油脂素材だと思います。フランスの本店でも、ムッシュウ・カッセルにごま油のよさをお伝えしたいです。 |
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「ザ・ペニンシュラ東京」勤務後、渡仏。2011年から「フレデリック・カッセル」でスーシェフとして7年働く。2019年から日本の同店のシェフ・パティシエールとなる。
大森由紀子
エートル・パティス・キュイジーヌ主宰。フランス菓子・料理研究家として、フランスの食文化を文献や歴史に基づき紹介する。2016年にフランス政府より農事功労章シュバリエ勲章を受勲。
https://www.yukiko-omori-etre.com/
レシピはこちらから
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SPOT
フレデリック・カッセル経堂アトリエ店
所在地:東京都世田谷区経堂4-12-12
電話:03-6413-7439
営業時間:11:00~19:00
休業日:月、火(祝日の場合は翌日休)
https: //www.frederic-cassel.jp/
本店はフランス・フォンテーヌブロー。銀座三越店もある
(2024年冬の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。