天ぷらを食べに

2023.12.21

銀座ハゲ天 銀座本店(東京・銀座)森弘明


おいしく手頃に、天ぷらを楽しんでください

銀座ハゲ天は、その名の通り銀座に本店を構えて90年以上。手頃な価格で、気負わずに本格的な天ぷらを食べることができる貴重な天ぷら店だ。2021年に銀座3丁目の町内で移転し、新装した店舗もますますにぎわいをみせている。

ランチを食べにまめに足を運ぶ近隣のオフィスワーカーをはじめ、意外なほどに女性同士の利用が目立つ。9席あるカウンターに座るもよし、テーブルでゆっくりするのもよし。たとえテーブル席でも、天ぷらは2、3品ごとに揚げたてをまめに供するのがいかにも専門店のこだわりだ。

ハゲ天の天ぷらは、薄くつけた衣の表面はカリッと軽く、中はふわり。卵の割合が多いので、衣の味わいにふくらみがあり、ごま油のうまみもあふれてくる。濃すぎず、軽すぎずのごま油の香りは、銀座でいただく上質な江戸前天ぷらを感じさせる。

本店の揚げ場に立つ、森弘明料理長は次のようにいう。

「ハゲ天で天ぷらを30年間揚げています。焙煎がしっかりしたごま油をベースに、綿実油を数割ブレンドしたハゲ天オリジナルの揚げ油は、香りが抜群です。季節によって割合を変え、一年中いつでもおいしく召しあがっていただけるように調合しています。場所柄、はじめて本格的な天ぷらを食べるお客様や外国人の方も多いですが、とても軽くておいしいとおっしゃってくださいます。天ぷらを好きになってもらえるきっかけになればうれしいですね」

高級店化が進む天ぷら店のなかでも、ハゲ天はお客を選ばない懐の深さがあるといえるだろう。全国に18店ある飲食店はお座敷天ぷらからカジュアルな天丼まで幅広く、デパ地下などにそうざい店36店も出店。本店からほど近い銀座5丁目には、一風堂とのコラボで「天丼らぁ麺ハゲ天」も出店するなど、「天ぷらをあらゆるシーンで楽しむ」ためにさまざまなアイデアを繰りだしている。

次なるステップは、冷凍天ぷらの自社工場が2024年初頭に稼働間近。常に新しい天ぷらに挑む老舗ハゲ天は、和食・天ぷら文化の発展に大きく貢献している。

冬の天ぷらといえば、牡蛎が格別。塩とレモンが合う。
定番の海老、穴子はともに九州産。
天つゆは2種を卓上におき、砂糖をきかせた甘口(写真右)と、塩で味を調えた辛口(同左)を好みで使い分けできる。塩味ですっきりとキレのいい辛口は、ごま油の香味を含んだハゲ天の衣と相性抜群。
別誂えで特別に調合している、ハゲ天オリジナルの揚げ油。焙煎が強めのごま油に綿実油を数割ブレンド。
ランチで人気の牛肉天丼(2200円)。塩、コショウとニンニクで下味をつけた牛肉を天ぷらに。半熟卵天、季節の野菜天2種(この日は玉ネギとカボチャのかき揚げ、マイタケ)に、甘めの丼たれをかける。
天ぷら屋のスイーツと銘打った、サツマイモとバニラアイスクリーム(660円)は食後のデザートとして好評。サツマイモの天ぷらはもちろん揚げたて。自家製の香ばしいキャラメルソースとよく合う。本店の女性スタッフのアイデアから生まれた一品だ。
現店舗は2021年9月に移転し、新装開店。揚げ鍋2台の前にはカウンター9席。明るくカジュアルに天ぷらを楽しめる空間。
こちらは本店から近い銀座5丁目にある「天丼らぁ麺ハゲ天」。天丼と胡麻豚骨らぁ麺やオリジナル担々麺を食べられる店舗は、外国人客にも人気。天丼とラーメンのセットという、ありそうでなかった斬新な組み合わせがウケている。

SPOT

銀座ハゲ天 銀座本店

所在地:東京都中央区銀座3-4-16 銀座サニービル2F
電話:03-3561-1668
営業時間:11:00〜15:30(15:00L.O.)、17:30〜22:00(21:00L.O.)
休業日:無休
https://www.hageten.com/
昼は天ぷら8品のコース「銀座オリジナルランチ」や月替りの季節の天丼各1980円〜、夜は「季節の旬こーす」4180円〜。アラカルトの旬のおすすめ種も豊富。

(2023年冬の号掲載)
 ※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。