特集100年先の未来
2026.02.05
薬膳だしで味わう養生白菜。清朝と日本、米酢とごま油を融合させた「MUBE」泉さんの至福の一品
味わい増す冬の白菜、ごま油、酢が描く 至福のトライアングル
生の白菜をねり胡麻や酢の濃厚なタレで和える「乾隆(けんりゅう)白菜」は、清朝の最盛期を治めた皇帝、乾隆帝が好んだといわれる名品。いわば200年超までさかのぼるロングセラーです。この乾隆白菜をオマージュし、冬に味わいをどんどん増す白菜を満喫すべく、マルホン胡麻油とミツカンがコラボレーションしました。「茶禅華」の川田智也シェフと「MUBE」の泉貴友さんが、中国料理と日本料理のそれぞれのアプローチで、極上美味な冬白菜の一品を仕上げます。
泉 貴友[MUBE]
米酢とごま油の別々の味わいが、口の中ですっとひとつになるのがおいしさの瞬間

土鍋のふたを取ると、流れる空気が大きくゆらぐように、酸を含んだ香りが空間に広がります。ことこと煮た白菜をよそい、米酢と炊いた薬膳だしを張り、2年熟成の浜納豆と胡麻油 一番搾りのオイルをかけると、そこで香りの様相はがらりと変わり、ごま油、米酢、白菜が融合しながらも、強い個性のトライアングルを描きます。この鍋には強い主役が3人いるかのようです。
「酢と油といえば乳化。乳化してまろやかになる印象がありますが、あえてセパレートに存在させて、口の中に入れてはじめて乳化させようとイメージしました。だから、両方の印象が強いのに、食後は気持ちのよい調和の余韻を感じると思います」
薬膳素材のだしは、泉さんの得意。ここにいつもとは趣の異なる八角やクローブ、金針菜など中国の要素を入れています。
「乾隆帝は健康志向が高く、薬膳も召しあがっていたと。同じ時代の日本と中国を融合させられないかとイメージをふくらませていきました」
この鍋の締めはそば。日本のそば切り(現在のそば)は清朝の頃にはじまったからだという。食文化の歴史をめぐるロマンも調味料のひとつです。
養生白菜


RECIPE
養生白菜
材料/2人分
薬膳だし(つくりやすい量)[水…4L 酒…180ml 煎り米…30g 松の実…30g ショウガ…25g ニンニク…25g 干し椎茸…20g 実山椒…10g クコの実…10g 黒豆…10g 陳皮…10g ミカンの葉…10g 金針菜(乾燥)…10g ビワの葉…5g ナツメ…4個 クローブ…4個 八角…2個]
ミツカン純米酢…150ml 白菜…1/2個
浜納豆オイル[浜納豆(自家製)…適量 胡麻油 一番搾り…適量]
実山椒オイル[実山椒…適量 胡麻油 一番搾り…適量]
そば…適量
- 薬膳だしの材料を火にかけ、沸いたら弱火にして1時間煮だす。火をとめて熱がとれるまでおき、漉す。
- 土鍋に①を2Lと純米酢、白菜を入れて弱火で1時間炊く。
- 浜納豆、実山椒にそれぞれ胡麻油 一番搾りをひたひたに注いでオイルをつくる。
- ②の白菜を切り分けて盛りつけ、②の薬膳だしを張る。浜納豆オイルを添えて供する。
- そばをゆであげて水にとって締め、器に盛る。②の薬膳だしを注ぎ、実山椒オイルをかける。
◉①で漉した薬膳素材に再度水を加えてぐつぐつ煮だすと、二番だしがとれる。


泉さんは年々季節の素材で発酵食品を仕込んでいる。冬仕込みの浜納豆、実山椒を胡麻油 一番搾りと合わせてオイルをつくり、それぞれ白菜、そばと合わせた。「浜納豆の由来は仏教とともに中国から伝来した豆豉なので、乾隆帝も食べていたはず。そんなことも頭に描きながら」と泉さん。胡麻油 一番搾りは立ちあがりのよいすっきりした香り。

15種の薬膳素材。煎り米は和食の料理人ならではのアイデアで、米の甘さやうまみがダシにでる。養生白菜の薬膳だしは純米酢の酸のインパクトが強いが、薬膳素材が複雑に重なりあう風味がベースにしっかり生きている。

1985年、滋賀生まれ。京都の宮ざわグループで研鑽を積み、「じき宮ざわ」「ごだん宮ざわ」の料理長を務める。2025年8月に「MUBE」を独立開業。

SPOT
MUBE
所在地:京都市北区大宮玄琢北町11-1
電話:075-384-9987
営業時間:12:00~、18:30~
休業日:不定
Instagram@mube_kyoto
昼1万6000円、夜2万6000円
▼「令和酢油百珍」はこちらから
保存版「酢油」料理の名作集「令和酢油百珍」。コクとキレ、酢とごま油のヤミつきレシピ13品
(2025年冬の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。