特集ネオ南九州
2025.07.17
九州の甘口醤油にごまラー油が合う!鹿児島のよかもんを知り尽くした焼酎居酒屋「和総」の、新しい酒のつまみ〈さつま揚げのレシピあり〉
「九州の醤油は甘い」はご当地ネタとしてよく知られていますが、「ごま油の四季」編集部は鹿児島で驚くべき発見をしました! 甘口醤油と、コクとキレがあるごまラー油は抜群の相性なのです。人気焼酎居酒屋「和総」の新メニューとともに、このおいしい法則をお届けします。
甘ラー!鹿児島のネオな味の法則
鹿児島・天文館にある通称グルメ通り。おいしい店が集まるエリアでも、ひと際にぎわっているのが焼酎居酒屋「和総」です。カウンターとテーブルで40席、そろえる焼酎は70蔵の250以上の銘柄。店主の鳥越慎一さんは業界でも有名な焼酎通です。
「鹿児島のよかもん尽くし」をコンセプトにしたメニューは、地元客にも観光客にも人気。今回は鹿児島の食材とごま油を合体させて、新しい酒のつまみをつくってもらいました。鹿児島といえば、九州のなかでもとくに甘口の醤油が有名ですが、この醤油でつくる料理はほんのり甘めの味つけになり、キレのよい焼酎と好相性です。
甘口醤油とごまラー油の抜群のペアリングを発見したのは、「黒豚しゃぶしゃぶ」の甘口醤油入りのごまだれにごま油屋のラー油を注ぐと、味が激変したことがきっかけ。辛みのシャープな輪郭ができ、グンと引き締まったのです。「組み合わせの妙ですね。甘さを消すのではなく、むしろ甘口醤油のよさをごまラー油が引き上げている」と鳥越さん。しゃぶしゃぶには、甘口醤油にごまラー油を数滴たらしたシンプルなたれもおすすめ。この甘ラーだれは、刺身や鶏刺し、冷や奴などにも合い万能です!

「ごま油屋のラー油」はその名のごとく、ごま油に唐辛子の辛みを煮だしたラー油。ただ辛いだけでなく、ごま油の香味やうまみもある“辛いコクだし調味料”だ。甘口醤油に数滴たらせば、キレが増して、味わい倍増。お試しを!
地鶏のユッケ

地鶏をあぶって切り、圧搾純正胡麻油、甘口醤油、塩昆布と和え、玉ネギとともにパンチのあるユッケ風に。まずはそのまま、続けてごま油屋のラー油を多めにたらして味変を。甘辛の濃厚な味つけに辛みが加わり、箸が止まらないやみつき味。
おすすめの焼酎
黒ぢょかで「一日一生」の前割り
店主の鳥越さんといちき串木野市の田崎酒造の杜氏が生みだした、オリジナル芋焼酎「一日一生」。芋なのに軽快で、はじめの香りとうまみの余韻が長く、濃い味つけの酒肴に万能に合わせられる。前もって水で割りまろやかにうまみが増した前割りで飲むのがおすすめ。
錦江湾のごまカンパチ

ごまサバならぬ、「ごまカンパチ」。甘めの自家製ごま醤油で和える。ごま醤油のベースは、純ねり胡麻 白ソフトパウチ、太香胡麻油、すり胡麻 白のトリプルごま。鹿児島県は養殖カンパチの生産量が日本一。垂水市の小浜水産のカンパチを使用。
http://www.obamasuisan.com/
おすすめの焼酎
「市来焼酎ツン」をロックで
黄金千貫と白豊芋のブレンドで、ガツンとした芋の香りと力強い味わい。高温で蒸留するため、スイートポテトのような甘く焦げたニュアンスも。ごま醤油のパンチがある味にぴったり。
茶そばしゅうまい

桜島鶏のモモ肉をたたき、シイタケ、ショウガ、圧搾純正胡麻油 濃口を合わせて団子状にし、知覧茶そばの乾麺をくだいてまぶして蒸しあげる。全国一の生産量を誇る鹿児島のお茶をオマージュした一品。
おすすめの焼酎
「市来焼酎ぷう」を水割り
熟成芋と清酒酵母の黄麹で華やかな香りを引きだした焼酎で、茶そばの香りに寄り添う。飲んだらふっと雲に浮かぶような飲み心地で、やさしい甘みが口の中に広がる。薩摩切子のグラスも美しい。
黒豚のしゃぶしゃぶ

鹿児島といえば、黒豚のしゃぶしゃぶ。甘ずっぱいごまだれには、ごま油屋のラー油をたっぷりめに入れるのがおすすめ。味が引き締まり、ごまの香味も引き立つ。
和総自慢の「さつま揚げ」をつくろう!
さつま揚げ

鹿児島名物のさつまあげ。「和総」でも一番人気のつまみメニューが、さらにおいしくグレードアップしました。ひと手間、ふた手間かけて、具だくさんでふわふわ、こんがりのさつまあげができあがります。家庭でもつくれるレシピをご紹介します。
RECIPE
さつま揚げ
材料/約20個分
A[玉ネギ…1/5個 ニンジン…20g サツマイモ…30g]
太香胡麻油…適量 塩…少々 絹ごし豆腐…160g 白身魚すりみ…1㎏ はんぺん…1枚
B[黒酒…25ml みりん…25ml ショウガすりおろし…大さじ1 ニンニクすりおろし…大さじ2/5 塩…適量]
片栗粉…適量 太白胡麻油…適量
- 玉ネギ、ニンジンはみじん切り、サツマイモは粗みじん切りにする。
- Aを太香胡麻油でしんなりするまで炒め、軽く塩をして冷ます。
- 豆腐をすり鉢でなめらかにし、しばらくおいて水分を捨てる。
- ③に白身魚すりみを加えてなめらかになるまでする。はんぺんを手で細かくちぎって入れ、②、B、片栗粉を加えて混ぜる(フードプロセッサーを使ってもOK)。
- 手に太白胡麻油をつけ、④を70gずつ丸める。
- スチームコンベクションオーブンで中に火が入り、弾力がでてくるまで蒸し焼きする(蒸し器の場合は30分目安)。
- 太白胡麻油を170℃に熱し、⑥をこんがり揚げる。
POINT1:具にサツマイモ

定番の玉ネギ、ニンジンの具に加え、鹿児島産の紅はるかを粗めにきざんで入れる。サツマイモの甘さがやさしいアクセントに。
POINT2:はんぺんはちぎる

はんぺんを入れるとさつま揚げがふわふわに。あえてすらずに手でちぎって入れると、ふんわり感が増す。
POINT3:黒酒をかくし味に

鹿児島の黒酒は灰の力で日持ちをよくした非加熱の酒(灰持酒/はいもちざけ)。うまみが強く、料理酒として使われる。
POINT4:蒸し焼き工程のひと手間でふわふわに

丸めた生地をそのまま揚げず、蒸して中まで火を入れてから揚げると、外側だけこんがり香ばしく揚がり、内側はふわふわになる。
POINT5:具はごま油で炒める

きざんだ具をあらかじめ太香胡麻油で炒めるひと手間で、すりみ生地との混ざりがよくなめらかになり、具には太香胡麻油のコクがのり、さつまあげの味の完成度がグンと上がる。
焼酎とごま油は、香りを楽しむのが共通点
焼酎造りは鹿児島の伝統産業です。地元の農家さん、蔵の杜氏さん、物流、酒販店や飲食店、消費者がみんなつながって、焼酎を飲んで幸せになれたらいいな、そんな気持ちで「和総」を営んでいます。
焼酎は「香りで飲む」お酒です。鹿児島といえば芋焼酎とひとくくりにできないほど、香りは繊細で幅広く、最近は大吟醸の日本酒に負けないほど華やかな芋焼酎もあります。ライチの香りやスイートポテト、チョコバナナの香りが潜む芋焼酎もあります。鹿児島の焼酎はどんどん進化しているんです。ごま油と焼酎の共通点は、まさに香り。料理の香りと焼酎の香りを掛け合わせれば、相乗効果で食事がおいしくなるのはまちがいありません。鹿児島から、ごま油と焼酎の魅力を発信したいですね。

1972年、鹿児島生まれ。天文館エリアでの食品卸営業、飲食店勤務を経て、2016年に「和総」を独立開業。開業前には10軒の焼酎蔵で働くなど、好奇心を放置しない熱い性格が店の雰囲気にも表れている。
SPOT
和総
所在地:鹿児島市東千石町7-17 ニイムラビル1F
電話:099-295-6655
営業時間:17:30~23:00(22:30L.O.)
定休日:不定
https://wasou-kagoshima.com/
お向かいに姉妹店「和ごん」もあり。一日一生などの焼酎はオンラインショップで購入できる

(2025年夏の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。