シリーズ連載300周年スイーツセレブレーション
2025.05.27
創業300周年 大森由紀子presentsスイーツセレブレーション#5 「ベージュ アラン・デュカス 東京」トマ・ジェラールシェフ
竹本油脂の創業300周年をお祝いし、大森由紀子さんのナビゲートで日本やフランスのパティシエたちに魅力的なお菓子を紹介してもらうシリーズ企画。太白胡麻油や太香胡麻油、ねり胡麻がスイーツの新たな表現を広げます。
フラン・セザム
Flan sésame

フィナンシェ・セザム
Financier sésame

フランス菓子とごまの足し算が生む進化
大森 | この数年フランはフランスで大流行中で、日本でも増えてきましたね。心なごむ懐かし系のお菓子だし、誰がつくってもそこそこおいしいのがいいところなのだけれど、パティシエとして進化とオリジナル性を追究するとなると、なかなかむずかしいかも。だから、ジェラールシェフがつくってくださったこのフランは独自性があり、期待値が高いです。 |
ジェラール | フランの味はバニラ頼りのようなところがありますよね。でも、これはごまのフレーバーがいいのでバニラは使っていません。もっと複雑なプティガトーならばバニラとごまの香りを組み合わせるのもおもしろいけれど、シンプルなフランにはあえて必要ないかなと。アパレイユのベースはクレーム・パティシエールで、純ねり胡麻 白・黒ソフトパウチで二色にしました。濃厚な風味ですが、コーンスターチの配合を減らしてとろけるようなテクスチャーにし、それを空焼きしたサクサクと軽い歯ざわりのパイ生地に流して焼きました。 |
大森 | アパレイユとパイ生地の食感の対比がとてもいいですね。パイ生地の表面は砂糖でキャラメリゼされているので、それもいいアクセント。白・黒二色のごまの味わいのちがいもよくでています。こんなフランははじめてかも。 |
ジェラール | ありがとうございます。フィナンシェはどうですか?これはプレーンのフィナンシェの配合はそのままで、純ねり胡麻 黒を加えました。このままでもおいしいですが、焼きあがりに塩味をきかせたキャラメルと純ねり胡麻 黒でつくった黒ごまプラリネを絞りました。 |
大森 | フィナンシェは油っぽかったり、油浮きが気になるものが多いんですよね。でも、これはしっかりと風味はあるのに、油っぽさが皆無で、ふわりと軽やかで上品。黒ごまプラリネは、確かに味を締めてくれますね。フィンナンシェではなく、別の名前をつけたいくらいの完成度の高さ! |
ジェラール | 軽さの一番の理由は、焼成前に生地をきちんと1日やすませていることだと思います。そして高温で焼きあげます。縁はカリカリ、中はふっくらしてますよね。 |
大森 | 生地を混ぜてグルテンができたら、やすませてグルテンを切る。これはすごく大事なこと。ケイクも型に流してから1日やすませると、軽やかに焼きあがります。こういった製菓の基本をすべてきちんと積み重ねておいしさに導くのが、ジェラールシェフのお菓子づくりの姿勢なんですね。 |
ジェラール | 一番大切なのは、素材をきちんと表現すること。そのために不可欠なのが技術であり、個々の個性や時代に合わせてお菓子を進化させることだと考えています。 |

1985年生まれ。パリ「タント・ルイーズ」「メゾン・ロスタン」で修業後、日本に。「ドミニク・ドゥーセの店」を経て、2019年に「ドミニク・ブシェ トーキョー」のシェフ・パティシエとなる。2022年に「ベージュ アラン・デュカス 東京」のシェフ・パティシエに就任。
大森由紀子
エートル・パティス・キュイジーヌ主宰。フランス菓子・料理研究家として、フランスの食文化を文献や歴史に基づき紹介する。近著は「フランスの宝石菓子100」(パイ インターナショナル)。
https://www.yukiko-omori-etre.com/
レシピはこちらから
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2025/05/gomashiki155_web_sweets-celebration_J.pdf

Les recettes en français
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2025/05/gomashiki155_web_sweets-celebration_F.pdf

SPOT
ベージュ アラン・デュカス 東京
所在地:東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング10F
電話:03-5159-5500
営業時間:11:00~19:00
休業日:11:30~15:30(13:30 L.O.)、17:30~22:00(20:00L.O.)
定休日:月
https://beige-tokyo.com/