特集創業300周年記念フランス大特集 ごまの大冒険
2025.04.08
3つ星を獲り続けるパリのスターシェフ、クリスチャン・ル・スケールのレシピ。ごま油の味覚や香りが誘う、新たな食の旅
フランスの最上級パラスホテル「フォーシーズンズ ホテル ジョルジュ サンク パリ」。同ホテル内にある「ル・サンク」は、3つ星を9年連続獲得するガストロノミーレストランです。2皿の料理とともに、クリスチャン・ル・スケールシェフが表現するごま油の香りをご紹介します。

Christian LE SQUER
1962年生まれ。1999年にパリの老舗レストラン「ルドワイヤン」のシェフとなり3つ星を12年獲得。2014年に「ル・サンク」のエグゼクティブ・シェフに就任し、2016年から現在まで3つ星を維持する。
Photo ©Ilya Kagan
料理のコンセプトは、フランスの伝統的な調理法や風味と、インターナショナル感をただよわせるごまの風味の出会い。クリスチャン・ル・スケールシェフにとって、ごま油は厨房で日常使いしている素材のひとつだといいます。
「貝類を焼いたり、魚の調理の最後の瞬間にかけたりするのが大好きな使い方。サッとグリルした野菜にもいいし、グリルする肉のマリネや、メインディッシュのガルニチュールの調理にもよく使います。私的によくするのは、生牡蠣にレモンコンフィをのせ、ごま油を数滴たらして食べること!」
とごま油好きなル・スケールシェフ。ガストロノミックなフランス料理におけるごま油の役割は、レストランを訪れるクライアントを慣れ親しんだのとはちがう味覚や香りの新たな旅へと連れていくことだと語ります。
「これまで使ってきたのは焙煎が強いタイプのごま油。生搾りの太白胡麻油や焙煎香がおだやかな太香胡麻油は、より素材の価値を引きだしてくれるごま油の選択肢になると思う」
ル・スケールシェフの料理を表現する素材として、ごま油が活用される機会はますます増えそうな予感がします。
ヒラメのムニエル クレソンのマセラシオン、梨のマリネ、ごま
Pièce de turbot meunière
Macération de cresson / poire vinaigrée / sésame
伝統的な料理に、食べ手の心を惹きつけるごまの香りを漂わせるのがル・スケールシェフ流。セサミバターの白ねり胡麻、ごまと柚子のマリナードの太香胡麻油の香りが醸しだす、料理のあらたな旅がはじまります。

RECIPE
ヒラメ
材料/つくりやすい量
ヒラメ…5~6㎏ レモンの皮、ローリエ…各適量 オリーブオイル…適量
- ヒラメをおろして130gに切り分ける。塩水に4分浸し、切り込みを入れてレモンの皮、ローリエを差し込む。別にエンガワを切り分ける。
- ①を真空パックし、72℃のお湯で4分加熱する。
- フライパンでオリーブオイルでさっと焼く。
RECIPE
クレソンのクーリ
材料/つくりやすい量
ショウガ…5g ニンニク…5g 無塩バター…適量 クレソン(葉を摘む)…2束 ホウレン草…100g
- ショウガ、ニンニクをすりおろし、バターで弱火で加熱する。クレソンを加えてさっと炒める。
- ①とホウレン草、砕いた氷少量(分量外)をミキサーにかけ、味を調える。氷で冷やす。
RECIPE
セサミバター
材料/つくりやすい量
白味噌…50g 純ねり胡麻 白ソフトパウチ…50g 水…50g 無塩バター…120g
- 白味噌と純ねり胡麻 白ソフトパウチ、水を合わせて温め、バターを加えながらモンテする。
RECIPE
梨のラペ
材料/つくりやすい量
梨…1個 ワインビネガー(オーク樽で熟成)…適量
- 梨の皮をむいてすりおろす。
- ワインビネガーに水(分量外)を加えて味を調整し、①を合わせる。
RECIPE
ごまと柚子のマリナード
材料/つくりやすい量
ライムの果汁…60g キサンタンガム…適量 柚子の果汁…160g ライムの皮のすりおろし…6個分 太香胡麻油…200g オリーブオイル…180g 甘口醤油※…40g
※砂糖で甘みをつけた醤油
- ライムの果汁にキサンタンガムを加えてとろみをつけ、漉す。
- ①と他の材料を混ぜる。
RECIPE
盛りつけ
材料/つくりやすい量
サンゴ草、チャイニーズカーネーション…各適量 ヒラメの頭のジュレ…適量 オマール海老のコライユのソース…適量 ハーブ…適量
- 皿の左側にヒラメを盛りつけ、エンガワ、サンゴ草、チャイニーズカーネーションを添える。
- ①の右側に円弧状にクレソンのクーリ、セサミバター、ヒラメの頭のジュレ、梨のラペを盛りつける。ヒラメの頭のジュレの上にオマール海老のコライユのソースを絞り、ハーブをあしらう。
- 中央にごまと柚子のマリナードを流す。

柑橘とごまのカンパリ・クロッカン カンパリのタルトレット
Croquant de Campari aux agrumes et sésame
Tartelette Campari
カンパリを味のベースに、グレープフルーツ、金柑、ベルガモットといった柑橘類が小さいサイズのタルトレットに詰め込まれています。小さいダイス状のカンパリのジュレは、カブのジュースにカンパリやジュ・ド・ヴォーを合わせ、胡麻油 一番搾り、甘口醤油、みりんで味や香りを調えた独特の風味。タルトレットのトップで光り輝くのは、白、黒ごまをちりばめたみずみずしいジンジャーボール。表面には太白胡麻油を薄くぬり、ジンジャーのフレーバーと透明感をそこなわずツヤやかに仕上げています。さまざまな素材がそれぞれの存在感を発揮し、口の中で酸味やビター感がひとつになります。

レシピはウェブに
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2025/03/gomashiki154_web_lecinq_J.pdf

Les recettes en français
https://gomashiki.gomaabura.jp/content/uploads/2025/03/gomashiki154_web_lecinq_F.pdf

SPOT
ル・サンク LE CINQ
所在地:FOUR SEASONS HOTEL GEORGE V, PARIS
31 avenue George V 75008 Paris
電話:01 49 52 70 00
https://www.fourseasons.com/paris/
(2025年春の号掲載)
※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。