特集香り中華

2025.01.30

爆発的に発する香りにそそられる。熱したごま油をかけて仕上げる「五廻」高橋シェフの水煮牛肉


究めるごま油、豊潤・淡麗な銘菜

中国料理ほど油の存在が大きい料理はありません。だからこそ、いい油を選ぶことは料理の質を上げ、食べる人の健康にもつながります。ここでご紹介する5店の銘菜を通して、ごま油の価値をあらためて究めます。

高橋正人[五廻]

黒毛和牛の辛い煮込み 水煮牛肉

水煮のおいしさを握るのは、太白胡麻油

四川料理の水煮(シュイジュー)は、字のごとく、肉や野菜を油通しせずに水(スープ)で煮てつくる調理法ですが、かならず最後に熱々に熱した油をかけて仕上げます。このときに爆発的に発する香辛料の香りは、刺激的で食欲をかき立てます。
「この料理は絶対に、熱に強い太白胡麻油でつくります。軽くとろみをつけたスープよりも、熱してかけた太白胡麻油のほうがサラッとしていて軽く、きれいな味。だからスープと一緒に油まで全部飲み干すお客様が多いんです」(高橋シェフ)
野菜や肉を箸で持ちあげると、上に分離している太白胡麻油と香辛料の層を通過し、自然とからみます。スパイシーな香味、そして太白胡麻油のコクとともに、口のなかで一体化します。

RECIPE

黒毛和牛の辛い煮込み 水煮牛肉

材料/1人分

太白胡麻油…大さじ3 朝天辣椒…3個 タカノツメ…3本 花椒…20個 牛モモ肉スライス…40~50g(3枚)(黒毛和牛の経産牛を使用) 紹興酒、塩、コショウ…各適量 ニンニクすりおろし…ティースプーン1/2 ピーシェン豆板醤…ティースプーン1/2 チキンスープ…200ml 紹興酒…適量 シメジ、マイタケ、モヤシ、春菊…各適量 醤油(木桶醤油)、塩、砂糖、オイスターソース…各少々 朝天辣椒面(粉末)…小さじ1 太白胡麻油…大さじ5 香菜…適量

  1. 中華鍋を火にかけ、太白胡麻油、朝天辣椒、タカノツメ、花椒を入れて炒める。香りがでて色がついてきたら、網を通してボウルにあけ、香辛料と麻辣油に分ける。香辛料は粗めにきざむ。
  2. 牛肉に紹興酒、塩、コショウで下味をし、沈殿片栗粉(水溶き片栗粉の沈殿したペースト部分・分量外)を両面にぬる。
  3. ①の鍋に麻辣油の半量を入れ、ニンニクすりおろし、豆板醤を入れて強火で炒め、チキンスープ、紹興酒を加える。シメジ、マイタケ、モヤシを加えて煮て、春菊も加える。野菜を取りだして器に盛る。
  4. ③のスープをさらに加熱し、醤油、塩、砂糖を加え、 味をみてオイスターソースで味を調える。火をとめ、②を入れてさっと火を通す。
  5. 牛肉を③の野菜の上に盛りつける。牛肉には⑧で油をかけるときにも火が入るので、表面だけ火が通った状態でいい。
  6. ふたたび④の火をつけ、ゆるいとろみのある濃度にする。とろみが足りない場合は水溶き片栗粉(分量外)で調整する。
  7. ⑥を⑤に注ぎ入れ、上に①の香辛料、赤色をだすために朝天辣椒面をのせる。
  8. ⑥の鍋をきれいにし、太白胡麻油を入れて強火で混ぜながら煙がでるまで熱する。⑦にかけ、香菜を添える。
高橋正人
1979年、千葉生まれ。四川飯店での修業、海外留学を経て、成城「墨花居」で料理長を10年務める。2024年に「五廻」を開業。

SPOT

五廻

所在地:川崎市多摩区登戸2089 Grande Amore+5F
電話:050-1721-5550
営業時間:11:30~14:30(14:00L.O.)、18:00~22:00(21:00L.O.)
定休日:日(不定休あり)
https://go-kai.jp/

(2024年冬の号掲載)
 ※掲載情報は取材時点のものとなり、現在と異なる場合がございます。